収入はあるのに貯蓄がない「高収入貧乏」

A wooden staircase going down to the dining room in a model house in Ottawa, Canada.
(写真=PIXTA)

 年収1000万円と聞くと、都内に持ち家、子供は私立の学校に通わせ、ブランド車を保有しながら貯蓄もたくさんある…いわゆる「勝ち組」のイメージを抱く人が多いのではないか。しかし、実際は高所得の家計でも貯蓄がほとんどできないというケースは少なくないようだ。今回は、そんな高収入世帯の家計の実情に迫る。

年収1000万円でも貯蓄がない!?

 平均年収が400万円の今の時代、年収1000万円と聞くと、かなりの高収入というイメージがあるだろう。年収1000万円もあるのだから貯蓄もたくさんあるだろうと思いきや、実際は年収1000万円の家庭でも約1割が「貯蓄ゼロ」とのことだ。(金融広報中央委員会『家計の金融行動に関する世論調査』)一方、年収300万~500万円の家庭でも約3割が1000万円の貯蓄があることが判明した。これは一体どういうことなのだろうか。

 多くの年収1000万円の家庭の家計を見てみると、「高給取り」という意識が反映している支出が多いことに気がつく。例えば、日常の買い物は輸入品が並ぶスーパー、衣類やバッグ、靴は百貨店で調達、飲料水用にウォーターサーバーを設置し、こだわりの電化製品を活用するなど、平均年収の家庭に比べると全体的にワンランク上の買い物をする傾向にあるようだ。この普段の買い物すべてにおいて単価が高いので、結果的に金額が嵩んでしまう。年収が高い割に貯蓄がないという家庭の多くは、ここに原因があるとうかがえる。

見栄消費で生活苦に

 日常の買い物が高いことに加え、高収入の家庭に見られるケースとして、都内にマンションもしくは一戸建て、子供は私立の学校、年に数回は海外旅行、高級車を所有…というように、ここでも「高給取り」という意識が働き、教育も家も車も全て上位ランクのものを好む傾向がある。

 一見、年収が1000万円を超えているのだから問題ないように見える。しかし、これらのことをすべて実現すると家計にまったく余裕がなくなる、もしくは赤字に転落する家庭がほとんどだ。

 日本では所得が多いほど税率が上がる累進課税制度を採用しているので、年収1000万円だと税率は20%、年収600万円だと税率は10%と、税負担は重くなる。また、児童手当などの各種手当も、1000万円を超えると所得制限に引っかかり、手当の金額が半減したりもらえなかったりする。その点を考慮すると、手取り収入は世間のイメージほど多くないと見受けられる。

 例えば、年収600万円で夫が会社員、妻が専業主婦、中学生の子ども2人の世帯では、月額の手取り収入は約31万円。同じ条件で年収1000万円の家庭の場合、月額の手取り収入は約47万円。その差は16万円だが、日常的に贅沢な消費を続けていると、すぐに埋まってしまう金額といえるのではないか。

高収入貧乏にならないために、お金の管理が大切!

 このように、年収1000万円といっても、実際はそんなにゆとりがあるわけではなく、お金の管理をしていくことが大切だ。

 改善策として、まずは貯蓄体質の家計にするために、手取り収入の20%を目標に、財形や銀行の自動積立を活用して「先取り貯蓄」で確保する。貯蓄をした後の残りの金額で、家計をやりくりするようにしたい。

 高収入の人ほどついあれもこれもと望んでしまいがちだが、お金の使いどころと貯めどころを考えメリハリをつけることが大切である。そのためには、自分の価値観を分析し、優先順位を意識しなければならない。家、子供の教育、食など、何にこだわりがあるかは人それぞれだろう。価値観を可視化し、叶えたい夢や希望に優先順位をつけることで、メリハリが効いたお金の使い方ができるようになる。

 今後は、消費税の税率も上がり、少子高齢化の影響で社会保障の自己負担金額も増える傾向にある。高収入だからと、必要以上に生活レベルを上げないように心がけたい。

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