米が生んだ怪物企業Netflix 日本の映像ビジネス業界にどのような変化が起こる?

Netflix
(写真=PIXTA)

世界で6500万人が利用 「Netflix」って?

 アメリカ合衆国カリフォルニア州に本社を置くNetflix(ネットフリックス)。約10万種類・延べ4200万枚のDVDを保有し、オンラインでDVDのレンタルサービスや定額制映像ストリーミングサービスを提供している。2015年第4四半期だけで会員数を559万人増やすなど世界各地で急成長を続けており、2016年1月現在190カ国以上に7000万人を超える会員をもつ世界最大手の動画配信事業会社である。

 2015年の日本進出の際には、知名度不足を補うためソフトバンクグループ株式会社と業務提携。ソフトバンクの携帯電話ユーザーとブロードバンドサービス「SoftBank光」ユーザー向けに、店頭での申込手続きから料金請求までを一貫して対応している。

 ソフトバンクユーザーでなくてもNetflix のウェブサイトから登録は簡単に行える。料金は3種類、SD画質・1ストリーミングのみのベーシックプランは月額650円、HD画質・2ストリーミングのスタンダードプランが月額950円、4K(UHD)画質で同時に4ストリーミングまで可能なプレミアムプランは月額1450円となっている。

 Netflixのグレッグ・ピーターズ社長は、「日本は技術的に進歩している国なのに、動画配信サービスはまだまだ消費者に受け入れられていない」と現状を分析。「マーケットは初期段階。Netflixの使い方や楽しさを消費者に浸透させていきたい」と意気込みを語っている。

テレビとは「共存」?

 米国で展開する動画配信サービスには、「Hulu」や「Amazon」などもあるが、Netflixの契約世帯は米国全世帯の約25%とライバルを圧倒している。その強みは「レコメンド機能」と「オリジナル・コンテンツ」にある。「レコメンド機能」は簡単に言えば「おすすめ機能」。視聴者が見たいものを常にインターフェース上に表示させるもので、多くの作品を持ちつつそれが「埋もれてしまう」ことを回避。同時にユーザビリティも向上した。

 もう一つの強みは「オリジナル・コンテンツ」。同社は映画作品やテレビ局が制作した作品のほかに、自社オリジナルのドラマやドキュメンタリー番組を制作・配信している。視聴者の反応や視聴率を気にしなくていいことや、幅広い視聴者をターゲットにする必要がないことからテレビに比べ制作内容が自由なのが特徴だ。この「クリエイター・フレンドリー」な制作環境が、結果的に動画の質の向上にもつながっているようだ。

 このNetflixのサービスによって、日本国内で割を食うとされているのは「WOWOW」や「スカパー!」などのCATVだ。NetflixもCATVも、ドラマやドキュメンタリーなど即時性を問われないコンテンツを主に展開しているため、マーケットが重なってしまうのだ。

 映画やドラマを好きな時間に好みの端末で視聴できる便利さに加えて、コマーシャルが入らない点が視聴者にとっては居心地が良い。そのため、最終的には地上波テレビと競合するとみられている。テレビ局のほうは早くも共存共栄の道を探っており、フジテレビジョンは2016年2月12日から、Netflixで独自の恋愛ドラマの配信を開始。同社がNetflix向けに独自コンテンツを提供するのは3作目で、動画配信サイト「フジテレビオンデマンド」でも同時配信する。Netflixの世界的なネットワークを使うことで韓国やシンガポールなど他のアジア地域でも視聴できるため、国内外でフジのファンが増やせるともいう。

国内動画配信業界は

 日本の動画配信市場には、すでに複数企業が参入している。NTTドコモとエイベックス通信放送が運営する月額500円(税別)の「dTV」は日本最大規模の会員数約460万人(2015年3月現在)に登る。日本テレビ傘下のHuluは2015年に月額933円(税別)の有料会員100万人を突破した。

 ここにNetflixがどう絡んでくるか。国内作品はdTVやHulu、海外作品はNetflixという使い分けもできるかもしれないが、利用者としては一本化してコストを下げたいところだろう。その場合のカギとなってくるのは「コンテンツの充実」「対応デバイスの拡充」「パーソナライズ」だろうか。

 dTV では約12万本の番組が視聴できる。Huluはぐっと減って約2万作品。対してNetflixは約10万本。各社ともこの数は増え続けるだろう。

 対応デバイスについても、すでに国内大手4社の2K・4K対応テレビはすべてNetflix対応機種となっており、スマホ・タブレットも網羅。「新入り」の弱みはなさそうだ。しかしこの点では2015年3月で総数1億台(パソコン除く)、2015年4月からソニーのゲーム機「プレイステーション4」での利用も開始するなど対応端末の幅広さを持つHuluが頭一つ抜けている。

 ユーザー一人ひとりの好みに合わせる「パーソナライズ」は、レコメンド機能を導入しているNetflixが得意とするところだ。しかしdTVでも、利用者が視聴した作品の履歴や年齢・性別などから、好みに合いそうな作品を紹介する「オススメチャンネル」を導入。この流れは今後も加速していくだろう。

 もうひとつ、日本ならではの注目ポイントといえるのが、オフライン再生(ダウンロード)が可能かどうかという点だろう。dTVはオフラインに対応しているが、HuluやNetflixは今のところ非対応だ。「黒船」と呼ばれたNetflixが、日本でどこまでシェアを獲得できるか、注目されている。

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