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金融業界で今話題のブロックチェーン技術とは?

2016,04,22

Blockchain
(写真=PIXTA)

ブロックチェーンはフィンテックのキーテクノロジー

金融業界に革命を起こすといわれている、金融と情報技術を融合させた新サービス「フィンテック(FinTech)」。そのキーテクノロジーとされているのが「ブロックチェーン」だ。ブロックチェーンとは、暗号技術とP2P(ピア・ツー・ピア)ネットワーク技術を応用した分散型の記録管理技術であり、仮想通貨「ビットコイン」の基幹技術としても知られている。

ブロックチェーンには「改ざんができない」「データが消えない」「停止しない(ゼロダウンタイム)」といった特徴があり、信用を重んじる金融機関からの人気を集めている。また、システムコストを抑えるという2次的なメリットもあり、銀行の勘定系システムや送金システム、証券取引システム、不動産の登記・閲覧システム、契約管理システムなど、今ではフィンテックだけでなく幅広い分野で応用されている。

ブロックチェーンの特徴は「改ざんできない」「消せない」「停止しない」

ブロックチェーンの最大の特徴は「データの改ざんが極めて困難なこと」にある。ブロックチェーンでは、いくつかの取引記録を「ブロック」としてまとめ、そのブロックをチェーンのようにつなげて保存している。各ブロックには、それぞれ直前のブロックのハッシュ値(あるデータを特定の計算式で変換した値)が含まれている。特定のブロックの内容を改ざんすると、それ以降にあるブロックのハッシュ値が変わり、改ざんがわかる仕組みとなっている。

特筆すべきは「ゼロダウンタイム」。つまりシステムの停止時間がないということで、これは「P2P」という仕組みによるものだ。P2Pでは、中央コンピュータがある従来の中央集権型ではなく、複数のコンピュータが対等な立場で全取引データを保持する分散型をとっている。そのため、特定のコンピュータが停止してもそのブロックチェーンのネットワーク上のコンピュータが1台でも稼働していれば、システムは停止しない。コンピュータを停止させないために膨大なコストを費やしてきたこれまでのシステムと異なり、「コンピュータは壊れるもの」という前提で代替を常に用意しておくP2Pではシステムが停止することはないとされている。

またP2Pでは、ネットワーク上のすべてのコンピュータが全取引情報を保持しているので、1つのコンピュータでブロックチェーンのデータが消失したとしても、ネットワーク上に1つでもブロックチェーンが残っていれば、データは消失しない。この仕組みのおかげでデータのバックアップも不要となるのだ。

「革命」の波は社会全体へ

フィンテックで大きな注目を集めることとなったブロックチェーンだが、現在ではそのメリットが評価され、フィンテックだけにとどまらず、著作権保護や美術品、物流管理、電気自動車などにも活用が広まっている。

著作権保護の分野では、米ブロッケイ(Blockai)がブロックチェーン技術を利用したデジタル著作権保護管理サービスを提供している。これはブロックチェーンの「改ざんが極めて困難」という特徴を生かして、著作権の証明に応用したものだ。具体的にはクリエイターらは同サービスを使うことで、自分の作品をドラッグ&ドロップすれば、ブロックチェーンを利用したデータベースに登録でき、証明書を発行できるという仕組みである。

美術品のオンライン取引は、「贋作」をつかまされるリスクがつきものだが、出品された作品が本物だと証明することに応用していく動きもある。具体的には、米ベリサート(Verisart)が、ブロックチェーン技術を応用し個々の美術品の所有者や所在地、信頼性を確認する分散型データベースを開発し、提供している。

取引履歴や著作権の管理だけでなく、物流・ロジスティクス、あるいはサプライチェーン管理にも応用されつつある。決済プラットフォーム提供会社の米フルエント(Fluent)が2016年3月に発表した、ブロックチェーンをベースとした大企業向けグローバルサプライチェーン決済・管理プラットフォーム「フルエント・ネットワーク(Fluent Network)」が好例だ。

サプライチェーン管理の分野では今後、「スマートコントラクト」機能が注目されるとみられている。スマートコントラクトとは、契約行為をプログラム化し、自動的に実行しようとする取り組みで、自動車リース契約ですでに概念実証が始まっている。

欧州では、ドイツのスタートアップ企業スロックイット(Slock.it)が、デジタルウォレットを利用したスマート決済や補充量ベースの料金請求、信号待ちの間に利用可能な充電ポイントなど、電気自動車の未来を変える革新的なサービスを大手エネルギー会社RWEと共同開発中という。

このように、ビットコインの中核技術として登場したブロックチェーンは、金融業界という枠組みを飛び越え、さまざまな業界へと波及している。「革命」の波は金融業界のみならず、社会全体へ押し寄せているといえるだろう。

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