経済・経営のニュースを取り上げる、百計ONLINE。

経営NEWS-百年の計

コンテンツマーケティングの最先端、米国で注目の『CCO』とは?


Confident business woman
(写真=PIXTA)

 6月15日、米NFLは新しくチーフ・コンテンツ・オフィサー職(COO: Chief Content Officer)を設け、初代CCOにジョーダン・レビン氏を任命したと発表した。

 レビン氏はマイクロソフトのオンデマンド・プログラミング・サービス、Xboxエンターテイメント・スタジオで上級副社長やWBネットワークのCEOを務めたほか、デジタルメディア企業Generateの創業者としての経歴をもつ。今後、NFL専門テレビ局NFLネットワークやオンライン・プラットフォームNFL Now、映像の制作・管理を行うNFLフィルムズなどNFL傘下のコンテンツ開発全般を受け持つ予定で、そのなかにはスーパーボウルのハーフタイムショーやMVPなどを表彰するNFLオーナーズといった人気コンテンツも含まれると報じられている。

 米国では既に「キラーコンテンツ」であるNFLが、なぜチーフ・コンテンツ・オフィサーという新たなポジションを設け、新たなマネジメント策を模索し始めたのだろうか。そもそも、聞きなれないチーフ・コンテンツ・オフィサーとは、どのような責務を負うものなのだろうか。

「コンテンツ」と「コンテンツ・マーケティング」

 今後「コンテンツ」がますます重要になってくるのは間違いないが、このワードからまず連想されるのは、映画やスポーツ、アニメ、音楽といった狭義の商業コンテンツである場合が多いだろう。だが最近のマーケティング、特にコンテンツ・マーケティングでは、コンテンツを「顧客や潜在顧客にとって有益で説得力のある情報」と広く捉えている。そこには、コンテンツを発信するフォーマットやプラットフォームも含まれている。

 そしてコンテンツ・マーケティングとは、有益で説得力のあるコンテンツを制作・配信することによって、ターゲット・オーディエンスを引き寄せ、獲得し、エンゲージメントをつくり出すためのマーケティングおよびビジネス手法であり、収益につながる顧客の行動を促進することが目的である、と定義づけられている(米国のコンテンツ・マーケティングの第一人者、ジョー・ピュリッジ氏による)。そしてエンゲージメント強化や顧客維持・獲得を経て、最終的には売上・収益拡大を目指す。

 このコンテンツ・マーケティングの中で中核的な役割を果たすのがCCO (Chief Content Officer)、つまりコンテンツに関する最高責任者だ。

「チーフ・コンテンツ・オフィサー」の役割

 コンテンツの制作と流通は通常、広報、コーポレート・コミュニケーション、マーケティング、カスタマー・ービス、ITなど部門ごとに分かれてマネジメントされる場合が多い。だがこれでは、すべてのプラットフォームでコンテンツの価値やメッセージ、顧客が受け取る反応などが細分化される危険がある。特に近年は既存メディアとウェブの融合など、メディア環境が激変しており、この危険はより大きくなっていくだろう。

 このような環境の変化に適応し、コンテンツを企業やブランド全体の観点でマネジメントする必要が高まった中で生まれたのが、CCOというポジションだ。従来はこのような業務は実務レベルで管理するか、CMO(Chief Marketing Officer)などが兼務してきたが、CCOはより特化・専門し立場で、CEOやCOO、CMOといったメンバーと同じ経営レベルにおいてコンテンツ・マーケティングをマネジメントすることを目指す。

 CCOには、コンテンツ開発の戦略立案、コンテンツ制作プロセスの管理、その流通と結果の評価、最終的には収益拡大という一連の活動をマネジメントしドライブすることが求められる。コンテンツの制作能力自体などは問われないだろう。より求められるのは、コンテンツの持つ様々な価値を見出し見極める能力、それらを適宜組み合わせてより強力なコンテンツとして編集する能力、そのコンテンツをより広く流通させるフォーマットやプラットフォーム、チャネルについての知見や分析能力になるはずだ。

「チーフ・コンテンツ・オフィサー」の重要性の高まり

 従来のメディアに加え、デジタルメディアとソーシャルメディアの普及によって情報流通環境が劇的に変わった現在、さらに変化するであろう将来に向けて、コンテンツの重要性がますます高まるのは当然だ。その中で価値ある優れたコンテンツを生み出すことはもちろん、それをいかに流通させるかも重要になっている。つまり、コンテンツ自体の価値を高めるのはそれを流通させる優れたプラットフォームやフォーマットであり、流通させるプラットフォームやフォーマットの価値を高めるためには優れたコンテンツが必要なのだ。この視点を持ち合わせて全体を俯瞰しマネジメントすることに、CCOの重要性がある。

 米Content Marketing Instituteの 2013年度の調査によれば、個人顧客相手のマーケターは予算の28%をコンテンツ・マーケティングに配分しており、55%のマーケターが今後1年でコンテンツ・マーケティングの予算を増やす意向を表した。マーケティング活動におけるコンテンツ・マーケティングの重要性は今後高まるだろう。そして、CCOという職責の重要性もますます高まる。

 今のような黎明期には、まだCCOにふさわしい能力を持つ人材が社内に育成できていない企業が大半だろう。だがコンテンツ・マネジメントは経営層が最終責任を負うべき職務であり、できる限り早く優れたCCOを自社内に置く必要がある。これからはもはや、優れたコンテンツを制作するだけでは競争に取り残されることは明らかなのだから。

TOP