一見手軽に思える「ワンルームマンション」投資に注意

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(写真=PIXTA)

キャッシュフローの赤字も覚悟

 ワンルームマンション投資は、いまや不動産投資の代名詞と言ってもいいだろう。新築の場合は自己資金ゼロプランなどもあり、また中古は価格が比較的安いので、どちらにしても不動産投資のなかでは初期費用が安く抑えられることは確かだ。加えて、今は賃貸管理など不動産経営に関するさまざまなサービスが用意されていることなどから、投資としてのハードルが低いと感じられることが大きな要因だろう。

 だが、こうした手軽に思える部分にこそ落とし穴が潜んでいる。

 手元にある広告などをもとに、販売価格2,000万円、自己資金ゼロの35年ローン(金利1%)、毎月の返済額5万6,500円、管理費・修繕積立金1万8,000円、家賃8万円(35年間家賃保証有)という新築物件の購入を想定してみた。一見、お手軽な投資物件に思えるが、家賃から返済額と管理費・修繕積立金を引くと毎月5,500円が残り、7.3%の利回りになる。

 しかし、これでは固定資産税などは賄えず、実際のキャッシュフローは赤字になる。しかも、金利1%というのはだいたいが「当初3年間固定」といったもので、それ以降はまず確実に金利は上昇する。さらに、新築時と同じ額の家賃を35年間、取り続けられることもまずあり得ないので、家賃保証有りとはいえ、現実のキャッシュフローはさらに厳しいものになるはずだ。家賃保証がなければ当然、空室リスクも考慮しなければならない。

 一方、建物の減価償却費や借入金利を経費として引くことによる節税をうたうものも多いが、本当に節税の恩恵を受けられるのは当初の数年だけだ。仮に節税効果があったとしても、キャッシュフローが赤字であれば、そもそも投資としての意味がない。

人口減少による賃貸需要縮小で投資価値が下落

 中長期的には、人口減少による賃貸需要縮小のリスクも避けられない。日本の人口は、2010年の1億2,806万人をピークに減少に転じており、国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口(2012年1月推計)(出生中位・死亡中位仮定)」によれば、2025年に1億2,066万人、2035年には1億1,212万人と、ピーク時から1割以上も減少すると見られている。

 地域ブロック別での人口割合が今後も緩やかに上昇する南関東(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県)以外の地域では、ワンルームマンションの賃貸需要は確実に減少していくだろう。それはそのまま、投資物件としてのワンルームマンションの価値が下落することを意味する。

 また、投資としての損益が確定するのは物件を売却した段階だということも忘れてはならない。戸建て住宅や一棟建てのビル、マンション・アパートであれば、建物は老朽化によって価値がなくなっても、土地が資産として残る。一方、マンションのような区分所有建物では、投資額に占める土地の割合は極めて小さく、処分価値としてはほとんど見込むことができない。

 先に計算した物件を、建物価値がある程度残っている築10年で売却する場合、金利1%だとしてもその時点のローン残債は約1,500万円。これ以上の金額で売れなければ赤字になってしまうが、需要縮小リスクなどを考えれば、10年後に購入時の75%の価格で売れる可能性はかなり低いと言わざるを得ない。

 中古物件の場合、価格が安いので購入当初のキャッシュフローという点では新築より有利だが、建物が古い分、それ以外の問題点については、基本的に新築よりリスクが大きくなると考えてよい。

 以上のことを踏まえてみても、不動産は株などの金融商品と異なり流動性が低く、売り出してから現金化するまでに数カ月はかかる。不採算の場合は、その間も赤字を出し続けることになる。だからといって売り急げば相場より低い金額にならざるを得ない。

 このように、投資資産として人気のワンルームマンションだが、リスクの方が大きくなる可能性があることを肝に銘じておく必要がある。

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