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低下する空室率、2020年に向けてオフィス市場は今後どうなる?


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(写真=PIXTA)

 オフィスREIT(リート)の投資家やこれからオフィス投資を検討している人に朗報だ。都心5区における2015年5月時点の平均空室率が前月から0.17ポイント下げ、5.17%となった。地区別では、千代田区4.44%、中央区5.94%、港区6.25%、新宿区4.46%、渋谷区3.07%となっている。また、既存ビルの空室率も前月比0.14ポイント下げ、4.50%となった(出典①)。

空室率と賃料の関係

 空室率は家賃の先行指標と言われている。つまり空室率が下がれば、それに遅れて家賃が徐々に上がってくるのである。家賃が上昇へと反転する空室率は4%台と言われている。4%台に入るとビルオーナーが強気になり始め、大手ディベロッパーが率先して賃上げ交渉を開始してくる。その後、他の不動産会社や個人のビルオーナーも追随して賃上げ交渉を始め、全体的に賃料が底上げされていくという流れだ。

新規賃料と継続賃料

 ここで、賃料には2種類あることを押さえておきたい。1つ目は「新規賃料」、2つ目は「継続賃料」だ。新規賃料とは、新しく結んだ賃貸借契約において成立する賃料のことをいう。いわゆる相場賃料だ。相場賃料については、募集賃料やビル仲介専門の不動産会社へのヒアリングなどを通じて、ある程度把握することができる。一方、継続賃料とは賃貸人と賃借人との間で成立する賃料、いわゆる改定賃料だ。改定された賃料は、基本的に特定の当事者間でしか知りえないため、継続賃料の相場ははっきりと把握することができない。ただ、新規賃料と継続賃料は相関関係があり、新規賃料が上がれば、ビルオーナーもそれを交渉材料として継続賃料を上げることが可能なのだ。

まだフリーレントが懸念材料

 そのため、空室率が一部で4%台に突入した現時点において、オフィスビルの継続賃料が上がるには、新規賃料がもっと上昇していくことが必要となる。ここで若干気になるのが新築ビルの空室率だ。2015年5月時点の都心5区の新築ビル空室率は36.84%と、既存ビルに比べかなり高い。新築ビルは依然としてテナントリーシングに苦戦していることがうかがえる。賃貸マンションであれば、新築はプレミアムが付くため、賃借人の客付が容易であり、賃料も高く設定できる。しかしオフィスの場合は、都心5区の物件であっても数年前からフリーレントが常態化している。例えば、賃料が坪25,000円で2年契約の物件があったとする。それが最初の半年間をフリーレントとすると、当初2年間は実質的には4分の3の坪18,750円で入居させていることと同じになる。つまりフリーレントは新規賃料の相場を下げる大きな要因となっているのだ。このため次の段階としては、フリーレント期間が6カ月、3カ月、0カ月と徐々に短くなっていくことが、新規賃料や継続賃料を押し上げる条件と言える。

今後の再開発動向

 また、2020年にかけては大手町や八重洲、京橋といった東京駅から徒歩圏内のエリアに、再開発によって複数の大型ビルが竣工予定だ。ここで参考になるのは、2003年問題と言われた、ビルの大量供給によって生じたテナントの動き方だろう。このときは都内でも大規模な空室の発生が懸念されたが、結局、千葉県や埼玉県からテナントを吸い上げる「ストロー現象」により、都内のオフィスビルはほとんど影響を受けなかった。

鮮明になる二極化

 2003年と違い、今度は利便性の高い東京駅を中心に大規模ビルが竣工するため、小さな輪のストロー現象が生じるものと思われる。つまり首都圏という大きな輪ではなく、品川区を含む都心6区以外の都内からテナントを吸い上げ、その結果、都内でも立地によってオフィスビルの二極化がますます鮮明になることが予想される。

 人気の高い東京駅を中心とした、山手線の東京~品川間、渋谷、新宿などの駅周辺エリアが、さらに確固たる地位を築いていくのかもしれない。

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