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決め手は含み益。今、注目すべき収益物件とは?

2016,08,20

tokyo(写真=PIXTA)

 首都圏の事業用賃貸ビルのマーケットが活況だ。2016年8月11日付の日本経済新聞によると、都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)のオフィスビルの空室率は、3.94%と8年ぶりの低い水準となった。業績好調により従業員の増員に対応しなくてはならない企業と、新たに竣工した大型ビルのマッチングが進んだことが最大の要因だ。また平均募集賃料も6年5ヵ月ぶりの高水準となり、リーシングも活況状態が続いている。

 オフィス移転を考えている企業は、耐震設備に優れ、1ヶ所にまとまった広さが確保できる新築ビルを好む傾向がある。新築案件の例として、「新宿バスタ」と同時に今年3月に完成した「JR新宿ミライナタワー」には、LINE株式会社やセイコーエプソン株式会社などの大手企業が入居している。

 このように人気が続いている都心5区の平均募集賃料は、3.3平方メートル1万8,271円と、31ヵ月連続で上昇している。

都心の大家さん、大手不動産会社の好調決算が示すもの

 また、少し古いが、同じ日本経済新聞の2016年5月19日付記事で、東京都心部のオフィス需要が底堅く、それに伴い都心部の大規模ビルを管理する大手不動産会社の財務状況が好転していることを示すデータが掲載された。それは2015年末の不動産大手8社が保有する不動産の含み益が、約7兆4,000億円となったという内容だ。2016年2月から導入された日銀のマイナス金利やアベノミクスによる経済状況の好転で不動産価格が上昇し、同時に賃料収入も以前と比較し高い賃料で成約していることが理由だ。

 ここでいう含み益とは、財務上貸借対照表に計上されている不動産価格の簿価と時価との差額をいう。特に都心部に多くの物件を保有する三菱地所や三井不動産は、対前期比で約2割程度含み益が膨らんでおり、この地域の不動産価格の上昇が証明された形だ。

 企業の株価が割高か割安かを判断する指標の一つとして、PBR(Price Book-value Ratio=株価純資産倍率)がある。PBRは会社の解散価値を表すもので、もし会社が解散状態になり過去から蓄積されてきた純資産を株主に返還すると決定されたと仮定した場合の、現在の株価と解散価値との割合を示す指標だ。一般的に1倍を切れば、その会社の株価は割安だと判断される。

 この指標を大手不動産会社の決算に当てはめて考えてみよう。実務上、不動産各社が発表する純資産の部には前述の含み益は反映さず、注記により開示される。仮に含み益を考慮しPBRを計算しなおしたところ、8社中7社が割安の目安とされる1倍を下回っていた。ここからわかるように、不動産の含み益は企業の財務状況を強固なものにすることができるのだ。

 このように東京都心部の事業用賃貸不動産が好調な状況下で、会社経営者が新たな投資先として選んでいるのが、東京都心における事業用ビルの区分所有だ。かつては、事業用不動産投資のケースでは1棟全部を購入し、それを賃貸に回す方法が主流だったが、近年ではオフィス物件の区分所有への投資という新たな方法も登場してきた。いわゆる投資用区分所有マンションのオフィス版で、区切られたスペースを所有し、企業にリーシングする不動産賃貸業を営むことになる。不動産を所有することにより、企業の財務上の選択肢が増えてくることが大きな魅力となっている。

不動産投資の指標IRRとは

 では、実際に不動産賃貸業を始めるために物件を吟味する段階で、何を基準に選択していけば良いのだろうか。その一つの指標がIRR(Internal Rate of Return=内部収益率)だ。この指標を少し詳しく見ていこう。

 不動産投資で重要なのは、毎月の家賃収入であるインカムゲインだけを考慮した表面利回りだけでなく、売却時のキャピタルゲインも含めたトータルリターン(インカムゲイン+キャピタルゲイン)だ。不動産投資でよく使われる年間賃料収入を投資金額=購入価格で割った表面利回りや、家賃収入から税金、保険料、管理費等を差し引いた減価償却控除前の収入である償却前利益(NOI)は、不動産投資においては一つの目安として考えるべきだ。

 ある不動産物件に投資してから売却まで、その保有期間すべての収入と経費を計算し、最終的に投資した金額がいくらの利回りで運用できたのか精査する必要があるのだ。

 例を挙げて計算してみよう。

 2億円で購入し、毎年1,000万円の収入がある物件の場合、購入から5年間所有し、5年後の売却金額が購入金額と全く同じ2億円の場合、IRRはNOI利回りと同じ5%だ。

 次に2億円で購入、毎年1,000万円のNOIがあり、5年後に出口のタイミングだと判断し、その時2億1,000万円で売却すると、IRRは5.89%となる。

 もし売却金額が2億1,000万円ではなく、何らかの理由により1億9,000万円とせざるを得ない場合、IRRは4.08%になる。

 ここからわかる通り、不動産投資のIRRを高めるためには、借り手にとって魅力的な空間を提供することで、できるだけ空室期間を少なくし、投資期間中の稼働率を高めて毎月の家賃収入をコンスタントに得る必要がある。同時に、常に経済情勢や不動産の相場を評価しながら、購入時より高い値段で売れるタイミングで売却するといった不動産の「出口戦略」が極めて大切になるのだ。これを逆手に取り、事業用不動産は「賃貸するもの」から「所有するもの」へ考え方を変えることで、不動産のキャピタルゲインを使った財務戦略が有効に使えるようになる。

どの地域が狙い目か

 では、キャピタルゲインを狙いやすい場所はどこだろうか。それはやはりなんといっても東京都心部だ。

 日本経済新聞の2016年8月9日付記事によると、2015年に地方から1都3県へ本社機能を移した企業数は過去最多だった。安倍政権は発足当初から地方創生を政策の柱に据え、本社の東京から地方への移転を推進しているが、地方での人口減が首都圏への流出を促し、地方経済をさらに疲弊させる「負の連鎖」に陥っているのが現状だ。結果、東京一極集中に歯止めがかかっていない。

 帝国データバンクはこの状況を「地方企業は地元での人口減が顕著で、労働力やビジネス展開を求め東京に拠点を移す傾向が強い」と分析している。

 安倍政権は、日本全体で一億総活躍社会を掲げ、首都と地方の格差を埋めるべく努力してきたが、今のところその効果はほとんど表れていない。いずれ起こることが想定されている首都直下型地震に対応するように事業継続計画=BCP(Business Continuity Plan)の中で企業の事業の一部を東京圏から地方へ移転を目論んだが、これも目に見える成果として上がっていない。

 これらを鑑みると、よほど効果的な政策が打ち出されない限り当面、東京への一極集中は継続することとなるだろう。さらにこの状態を2020年の東京オリンピックが後押しする。東京周辺のオリンピック関連施設の建設は、ますます地方との格差拡大の大きな要因となりえるのだ。

 不動産投資の視点から、キャピタルゲインを得る第一候補としてあげられるのが東京だ。また、国際的視点から考えても、東京のステータスは不変だ。

 自社のオフィスを賃貸にするか、または所有してしまうのか、長期的な視点からじっくり考えてみる必要がある。キーワードは「東京」と「キャピタルゲイン」だ。いきなり一棟物の賃貸ビルを持つことはリスクがあるとお考えの経営者の方は、まずは区分所有オフィスを持つことから不動産経営を始めることを考えてはいかがだろうか。

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