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ヒラリー・クリントン大統領誕生で日米関係はこうなる

2016,10,14

Hillary
(写真=PIXTA)

 複数の米世論調査によると、民主党の米大統領候補のヒラリー・クリントン氏が2016年11月の本選で接戦州を中心に圧勝をおさめる可能性が増してきた。

 日本の安保負担増や米軍の東アジア撤退をちらつかせる「ドナルド・トランプ大統領」が誕生しないとなれば、日本は一息つける。だが、「ヒラリー・クリントン大統領」が現オバマ政権の対日政策をそのまま継承するわけでもない。むしろ、日本への風当たりが強くなる可能性もある。

 ここで、クリントン氏の公約についておさらいをし、彼女が大統領に就任すれば、国防・外交・貿易・為替などの分野で、日本にどのような影響があると考えられるのか、わが国の対応策も含めて考えてみよう。

日本にも中国にも厳しい姿勢

 クリントン氏は、オバマ政権の国務長官として米国の軸足をアジアに移す政策を着実に推し進め、西太平洋地域での影響力増大を狙う中国指導部を怒らせた。また、人権問題でも直接的な表現で中国を非難し続けた。

 さらに大統領候補としても、貿易問題で中国を「通貨操作国」と名指し。人民元安で価格が下がった中国製品や労働力で米国内の労働者の職が奪われ、賃金が低下することを容認しないとの立場を明確にしている。

 対中強硬姿勢だけを見るなら、日本にとって「クリントン大統領」の誕生は、願ってもない好機に思える。だが、クリントン氏の強硬姿勢は中国だけに向けられたものではない。彼女は、通貨操作国として中国のみならず、同盟国の日本も名指ししている。当然、安倍首相が目指す円安誘導によるアベノミクスの目標成就とは、方向性が相容れない。こうした意味で、ドル安による米製品の競争力強化を狙う「クリントン大統領」の下、わが国との貿易・経済摩擦が再燃しないとも限らないのだ。

 さらにクリントン氏は、日米など環太平洋パートナーシップ(TPP)協定交渉参加国がすでに合意した内容について、米国の労働者の権利が守れないとして反対するなど、保護主義的な姿勢を打ち出している。TPPそのものは否定していないが、米国に有利な内容を求めて再交渉を迫る可能性はある。自動車や農業分野などについて日本に不利な内容で再合意が行われれば、安倍政権の立場を苦しくするかもしれない。

積極的な情報発信が対応策の基本

 ここで諸刃の剣となりうるのが、貿易に関するクリントン氏の強硬姿勢だ。報復関税や輸入品へのより高い関税など、主に中国を念頭に置いたと思われる政策を標榜している。しかし、製造業などを中心に国内からの突き上げを受ければ、矛先が日本の自動車産業や電子部品、鉄鋼などにも向かいかねない。守るものは守りつつ、少々の円高は許容するなど、日本側のバランス感覚が要求される局面になろう。

 また、日本が1980年代以来進めてきた製造拠点の米国移転や米国債の大量購入などで、どれだけ米国に恩恵を還流してきたかについて、日米友好ムードが高止まりしている今だからこそ、大々的に米国民に発信する必要がある。「クリントン大統領」が中国も日本もひっくるめてネガティブなイメージを根付かせる前に、先手を打つのだ。

 国防面でも、トランプ氏の「日本安保ただ乗り論」に反論する形で、「米国の安全を守る同盟国として、米国の安保を脅かす中国や北朝鮮と最前線で日々対峙する日本」のイメージを宣伝し、米国民や米メディアが「クリントン大統領」に日本を支援する形の外交や対日政策を行うことを要望するよう、民意を誘導する必要もあるだろう。

 幸い、日本のイメージ発信はリオデジャネイロ五輪閉会式の「安倍マリオ」のように、米国を含む世界から非常に好意的に受け止められている。その勢いに乗り、米国民にポジティブな日本観を定着させることが「クリントン大統領」に日本をバッシングのターゲットにさせない、効果的な対応策かもしれない。

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