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部下が求める新たなリーダー像「イクボス」とは

2016,10,19

ikuboss
(写真=PIXTA)

 女性活躍推進やイクメンなど、男女問わず仕事とプライベートのバランスへの考え方が多様化してきたのは周知の事実となってきた。しかし、残業が美徳であるという考え方の企業はまだ絶えない。そんななか、2016年9月12日に、小池百合子都知事が都庁の幹部職員に向けて「イクボス宣言」をするよう求めた。育児に積極的に関わる男性をイクメンと呼ぶことにならい、そのイクメンを支援する上司(ボス)のことをイクボスと呼ぶのである。東京都のトップがその働きかけを行うことは、多くの企業にとっても影響を与えることであろう。

 今回はそのイクボスについて見解を深め、イクボスの面から見る今求められているリーダー像とはどんなものであるか考えてみる。

「イクボス」が可能にする「育キャリ」

 イクボスとは、仕事と育児などのプライベートの両立を目指す部下の事情に配慮し、その活躍を後押しする経営者や上司のこと。

 女性だけでなく男性も育児に関わることが当たり前になってきた現代社会で、理解のある上司がいることで部下は無理なく仕事と育児を両立できる。これにより、仕事だけでなく育児にも関わりながら、子供やパートナーと一緒に歩むキャリアである「育キャリ」が可能になる。働き方ひとつで、子供や夫婦の関係もいい方向へ変えることができるのである。

 育児に深い理解があるイクボスの存在が、自分だけでなく、子供やパートナーにも良い影響を与えていく。

イクボス推進企業のユニークな取り組み 

 イクボスを先進的に推進している企業は多くあるが、実際に取り組んでいる企業をいくつか紹介しよう。

● Yahoo!
 Yahoo! では、自社内でイクボスを増やすために「先輩イクボス」が、次の「イクボス予備軍」を育てる仕組み作りをしている。時短勤務の部下を持つ上司を支援するため、先輩イクボスが相談窓口としてサポートすることで、スムーズに次のイクボスを育てているのだ。

● Baxter(バクスター)
 米製薬大手バクスターの日本法人では、ユニークな取り組みでイクボスを推進している。バクスターは2014年から「イクボスキャンペーン」を開始。狙いは社員の働きやすい環境づくりと生産性向上である。

 上司に「イクボスカード」を配布し、上司がイクボスであると感じたら、部下がカードにシールを貼っていく。シールが多かった人たちは表彰されたりと、特典があるようだ。このように、楽しみながらイクボスを社内で普及させていることは非常に画期的な方法であるといえる。

 以上のような先進的な取り組みをしている企業のほかにも、イクボスの必要性を認識し推進していこうとする企業のネットワークとして「イクボス企業同盟」というものがある。イクボス企業同盟に参画している企業は100社以上(2016年9月14日時点)あり、現在も増え続けている。こうした企業同士の情報共有を通して、今後イクボスへの深い理解のある企業が増えていくことであろう。

今求められている上司像とは?

 ここまでみてきたように、会社としてイクボス推進に取り組んでいる企業は多いが、部下が上司に求めていることは、単に仕事と育児の両立の支援というだけではない。

 例えば子育ての時間制約を理由に、上司が気を遣って簡単な仕事しか与えなかったり、重要な仕事から外したりなど差別をしてしまっては、部下のモチベーションは下がってしまう。時間的制約があったとしても、仕事で最高のパフォーマンスを発揮して上司の期待に応えたいと部下は思うものである。そういった気持ちも汲み取り、適切な人材配置や、部下が意欲的に業務に取り組める工夫を行うのだ。

 同時に、育児など私生活も充実できるよう配慮を行う。よって、子育て支援のための社内制度(育休制度など)や 法律(労基法など)を知っていることは当然であろう。一見難しいと感じるかもしれないが、要するに部下と親身になることが肝心なのである。一人ひとりの状況や気持ちに合わせた柔軟なマネジメントをすることが、今求められている上司であろう。

 そして何よりも、上司自らが仕事と私生活とのバランスを重視し、楽しんで実践していることが肝心である。

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