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新たな道を模索するために経営者が変わった大企業

2016,12,16

succession

(写真=PIXTA)

2016年、多くの大手企業で社長が交代した。経営環境が激変する中、相次ぐ新社長の登場の背景には何があったのか。新しく就任した社長たちはどのような思惑、目的、志を抱いて新社長に就任したのか。

NTTドコモ、ローソン、LIXIL、富士フィルム、セブン&アイの新社長人事について、その背景、人物、目的を探る。

続々と登場する新社長。その背景、人物とは

・ NTTドコモ
新社長に就任した吉澤和弘氏は、前・加藤薫前社長とは、かつて二人三脚で「ショルダーフォン」の開発にも取り組んだ、いわば同じ釜の飯を食べた長年の盟友である。吉澤氏は、iモード、スマートフォンなど携帯端末の進化を一線で担ってきた。

・ ローソン
新社長兼最高執行責任者に就いたのは、三菱商事出身の竹増貞信氏。やり手経営者として知られた前・社長の玉塚元一氏は会長兼最高経営責任者に就任した。竹増貞信新社長は、2014年から副社長として主に物流面や海外展開を担当してきたが、引き続き会長と新社長の2強体制で組織の刷新に取り組んでいく。

・ LIXIL
住まいの総合企業LIXILグループの新社長兼最高経営責任者に就任したのは、工具通販大手モノタロウを立ち上げ、上場させた実績のある瀬戸欣哉氏。前社長の藤森義明氏は、米ゼネラル・エレクトリック(GE)出身で「プロ経営者」と称された人材であり、積極的なM&Aにより業績向上を目指したが、道半ばでの社長交代となった。

・ 富士フィルム
中嶋成博前社長の健康問題により、急遽新社長となったのが、助野健児氏である。今もなお、強力なリーダーシップを持つ古森会長による指名人事だった。助野健児氏は、長らく経理・財務畑を担当し、12年間の海外赴任の経験を持つ人物。また2012年から経営企画本部長として会長・社長の右腕となって信頼を高め新社長に就任した。

・セブン&アイ・ホールディングス
電撃的な社長交代劇としてマスメディアの注目を集めたのが、セブン&アイ・ホールディングスの新社長就任だった。中興の祖といえるカリスマ経営者・鈴木敏文会長兼CEOに代わり、セブン-イレブン・ジャパン社長の井阪隆一氏が代表取締役社長に昇格した。鈴木氏はセブン-イレブン・ジャパンとイトーヨーカ堂の会長兼CEOからも退く。退任の理由は、鈴木氏が提案した人事案が、取締役会で否決されたためとのこと。

なぜ変わったのか、なにが変わるのか

・ NTTドコモ
NTTドコモを巡る環境は決して甘くはない。au、ソフトバンクとのシェア争いは厳しさを増し、シェアは横ばい状態。安価なモバイル端末を手がける会社も続々と参入しており、先行きには一層の不透明感が漂う。かつてのインフラ整備や端末販売だけでは、収益向上は見込めない状況だ。クラウドや仮想化技術、「+d」の促進、AI(人工知能)への取り組みなど、「脱・通信会社」を宣言する吉澤新社長の新たな手腕に期待が高まる。

・ ローソン
再編が進むコンビニ業界において、ローソンは店舗数で2位から3位へとランクを下げた。物流の総合力をさらに高めるために、三菱商事出身の社長に寄せられる責任は重い。また新体制においても、玉塚元一氏は会長として経営の任を負う。海外事業に強い竹増新社長とともに、二人トップ体制でコンビニ業界の総力戦に挑む。

・ LIXIL
住宅から水まわり、エクステリアなど、LIXILの取り扱う商品は幅広い。それだけに旧来型の物流を変革し、ネット通販で工具流通に変化を起こした瀬戸新社長への期待は大きい。これまで国内外で11社ものベンチャーを起業した実績のある瀬戸新社長だが、大企業を経営するのは初めての経験。グローバル化を至上命題とするLIXILでの辣腕が期待される。

・ 富士フィルム
デジタル化時代の荒波を見事に乗り切り、事業を多角化し、増収増益を続けるなど、勝ち組企業としての印象が強い。今回の社長交代は健康問題という不可抗力なので、基本的な経営路線は変わらないだろう。しかし医薬品、再生医療分野等の事業拡大や経営の効率化、海外展開の強化など、同社の課題はまだ多い。

・セブン&アイ・ホールディングス
井阪新社長は1980年の入社以来、コンビニ一筋に歩んできた人物。一方、セブン&アイ・ホールディングスはいまや金融、総合スーパー、百貨店、通信販売など多くの事業を手がける総合企業である。しかしグループ会社のなかには業績の芳しくない事業もあり、通販サイト「オムニ7」も当初期待された快進撃とはいっていない。コンビニしか経験のない井阪新社長に、それら多分野の事業をまとめられるのか。また内紛とも見える今回の社長交代劇で分断されたグループ内において、どのように求心力を発揮できるのか。今後の真価が問われている。

新社長に期待する事柄

正統継承から、新規開拓や組織刷新を目指した抜擢、あるいは内紛による調整人事まで、社長交代の理由はいつの時代もさまざまだ。

ところで、これまで経営不振に陥った企業にプロ経営者が辣腕を振るった例は少なくなかったが、結果すべてが大成功とはなかなかいかないようだ。やはり社長人事には、その事業を知り尽くした人物による、明確かつ挑戦的な事業戦略が求められるからだろう。

今回のさまざまな社長交代劇がどのような意味を持つのか。結果がすべての世界であるだけに、いずれも行く手には茨の道が待っていると予想される。事業環境が目まぐるしく変化する時代だからこそ、陣頭指揮をとる新社長たちのリーダーシップに注目が集まる。

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