地球最後のフロンティア、アフリカへの投資の可能性とは?

Africa

(写真=Volodymyr Burdiak/Shutterstock.com)

2016年8月、安倍首相はケニアの首都ナイロビで開催された第6回アフリカ開発会議で基調講演を行い、今後3年間でアフリカに対し民間企業も合わせて300億ドル(約3.4兆円)の投資をする方針を表明した。

アフリカはラストフロンティアと言われ、地球に残された最後の巨大市場として注目されている。日本のアフリカ投資は、歴史的に関係の強い欧米勢や資源・インフラへの投資先として力を入れている中国に比べて出遅れ感は否めない。アフリカ投資の現状と可能性追ってみよう。

ラストフロンティアとしての参入メリット

アフリカは12億人の人口を抱え、豊富な天然資源を有する将来性のある地域だ。直近の経済規模は名目GDPで約2.5兆ドル、人口と経済規模はインドに近い。IMFによると、過去10年の実質GDPの平均成長率は5.4%であり、新興国には劣るものの世界平均に比べて高い成長を維持している。
 
国連の推計によると、2050年にアフリカの人口は25億人に達するとされている。今までのフロンティア市場がたどってきたのと同様に、人口の増加がアフリカの経済成長を牽引することは間違いないだろう。 

アフリカの魅力は天然資源だ。アフリカでの埋蔵量が世界で高いシェアを持っているレアメタルなどの商品には、プラチナ95%、コバルト54%、クロム42%、マンガン38%、ボーキサイト26%などがある。プラチナは排気ガスの触媒、コバルトやマンガンは二次電池、クロムは特殊鋼、ボーキサイトはアルミの原料として使われており産業化が進めやすい。さらにアフリカは、鉱物資源だけでなく石油や天然ガスといったエネルギー資源の埋蔵量も高水準だ。
 
ただ、アフリカを単なる資源国として考えたら市場を読み間違える。人口増と経済成長を背景に、中国などに変わる世界の生産工場としての機能や、エリア内での一大消費市場としての魅力でも大きなポテンシャルを秘めているのだ。 

実際、総務省の『平成27年版 情報通信白書』によると、2003年時点で人口普及率8.6%であった携帯電話は、2014年時点で約10倍の84.7%にまで成長している。この携帯電話の急速な普及が、金融を始めとするさまざまな分野で革新や成長が起こるきっかけになっているという。野村総合研究所の『2011年11月 知的資産創造』の「アフリカの金融セクター(中)」によれば、金融分野の成長も携帯事業会社が主導する送金サービスを提供しているほか、ノンバンクなど販売金融が消費を下支えしているという。とはいえ、金融サービスの普及はまだ発展途上にあり、成長余力はかなり高いのだ。欧米中の民間企業が積極的にアフリカ進出をしているのも市場の急拡大メリットを逃さないためだろう。 

欧米中に出遅れたアフリカ投資をキャッチアップ 

安倍首相のトップ外交で300億ドルの投資をコミットしてきたのも、世界に対して日本のアフリカ投資が遅れているのを挽回するためだ。300億ドルには民間投資を含んでおり、特にインフラ整備には3年間で100億ドル(約1.1兆円)を投資する考えだ。 

8月のアフリカ開発会議の展示会には84企業が出展。ラストフロンティアでの事業拡大に向け、日本の22企業や団体がアフリカ側と計73件の覚書(MOU)を締結した。エネルギーや人材育成に加え、疾病対策など覚書を結んだ事業分野の幅は広い。 

個別の企業で言えば、丸紅はナイジェリア政府と、NECはコートジボワール政府との間で、事業合意に至っている。丸紅の場合は、180万キロワットの火力発電所受注に向けての調査開始で合意し、総事業費は1,900億円に及ぶとみられている。また、これを含め計14件の覚書を締結するなど、インパクトは大きい。NECの場合は、テロ対策やサイバーセキュリティーの強化などを目指し、治安対策に協力することで合意している。ここには同社の生体認証技術などの新技術が活用される予定だ。

JETROによると2016年3月発表の世界主要国の対アフリカ直接投資残高は、日本が102億ドルなのに対し、米国が645億ドル、英国は595億ドル、フランスは518億ドル、中国が325億ドルである。日本が300億ドルを打ち出したのは先行する欧米中にキャッチアップするためだ。

中国は、道路、鉄道、港湾、工業団地といったインフラ投資に国をあげて積極的に取り組んでおり、アフリカへの進出企業数でも日本とは大きな開きがある。JETROによると日本からの進出企業数は、2015年2月の時点でおよそ400社。これに対し中国は、最新の企業数の開示はないが、2012年時点で既に2,000社を超えていたともいわれている。
 
安倍首相は、金額的なコミットだけでなく人材育成、環境面でもコミットしてきた。「育てたいのは,将来の職長,工場長。現場の指導者たちです。3年間で,約1,500人育成します。」と安倍首相は、基調演説で高らかに宣言している。加えて、「感染症に立ち向かう専門家と政策人材を、3年で2万人育て、UHC(ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ)を推し進めるため、モデルとなる国を選んで支援を重点的につぎ込み、そこを突破口に、各地にUHCが広まるよう努めて、基礎的保健サービスに浴せる人口を、向こう3年で200万人増やす」ことを目標にしている。

アフリカ投資の抱える問題点 

アフリカは、高い伸びの期待されるラストフロンティアだが整備しなくてはならない問題点も多い。 

その代表が為替リスクだ。資源国通貨や新興国通貨一般に言えることではあるが、現状では資源が主な輸出産業であり、為替は商品市況によって不安定な動きをする。ほとんどのアフリカ諸国では、外貨準備率が低く「リスク通貨」として米国の利上げ、景気後退などの影響を受けやすいと考えられる。 

政情不安も大きなリスクだ。かつてのアフリカといえば飢饉や紛争が絶えなかった。今は比較的安定しているものの、まだまだ小さな国が多く、政治リスクは常に存在する。市場や企業に関する情報を入手するのも容易ではない。

電力や交通網といったインフラの未整備も産業の発展の足かせになっている。 

ラストフロンティアとしてのアフリカ市場は、こういった問題点があったとしても、明らかに魅力的でビジネスチャンスに満ちあふれている。日本の大手企業、日本の中小企業が、国のサポートを受けながら、今後アフリカへの進出を増やしていくことは間違いないだろう。 

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