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あなたのオフィス、借りるか買うか、どっちがお得?


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(写真=PIXTA)

 分譲マンションのセールスで「借りるより買った方がお得ですよ」という営業トークを耳にすることがある。それならもっと安い所に借り直した方が得な気もするが、何度も力説されると、正しい気もしてくることはないだろうか。

 住宅の場合は、今の損得よりは老後を考えての購入という選択肢はあるだろう。では似たような例でオフィスの場合はどうだろうか?オフィスを借りるか買うか、どちらが得なのか見ていくことにしよう。

メリットはコスト圧縮

 オフィスを購入する最大のメリットはコスト圧縮だ。オフィスを購入すれば、土地建物の固定資産税、建物の損害保険料、修繕費などは発生するものの、これらは賃料を払うより安い。ビルオーナーの賃貸物件の経費は通常、家賃の20~30%程度のため、購入すれば現在の賃料の70~80%の費用を圧縮できることになる。ただし、これはあくまでもキャッシュフローであって、購入すると建物の減価償却費が損益計算書の費用項目に発生することになる。よって会計上は減価償却費も費用として上乗せされる。

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融資も受けやすい

 また資産を保有することにより、貸借対照表の有形固定資産の部分に土地建物が計上される。企業に資産が増えることについては、いろいろな見方がある。まず銀行などの債権者にとっては、担保に取れる資産ができるため、融資を行いやすくなるという側面がある。

 一方で株主などの投資家にとってはROA(Return on Asset: 総資産利益率)が低下することになり、投資対象としての魅力も低下するという側面がある。ROAはその企業がいかに資産を効率よく活用しているかを表す指標である。特に本社ビルのような何も収益を生まないオフィスを購入した場合に、ROAが低下してしまう傾向にある。ただし非上場企業の場合は役員が株主のケースが多いため、ほとんど気にする必要はないはずだ。

土地の下落リスクには要注意

 貸借対照表の有形固定資産は土地と建物に分かれるが、土地については減価償却が行われない。土地代が高い時期に購入すると、土地の簿価が高いまま計上され続ける。なお、土地代が著しく下落した場合は、減損会計処理が行われるケースもあるが、バブル時に購入された不動産以外で減損が適用されるパターンは滅多にない。そのため資金が必要になって、いざ売却しようとしたときに、土地の市場価格が簿価よりも安いと、特別損失を計上することになる。企業としては土地の下落リスクを認識して資産を購入した方が良いだろう。

購入の必要性の見極めが重要

 また、企業が本社ビルを購入する場合、キャッシュや会計上の問題よりも、経営上、その物件を購入する必要性が高いかどうかの判断の方が重要である。取引先に行きやすいかどうか、従業員が通いやすいかどうか、対外的に信用を得やすいアドレスかどうかなどの理由だ。経営の外部環境は常に変化するため、本社ビルを購入したために機動性や拡張性を失うことは望ましくない。特に成長企業であれば従業員も増えていく。従業員が増えれば床面積が足りなくなり、周辺のビルを借り始め結局非効率になっていくケースもある。将来、本社ビルを建て替える場合、従業員が新しいビルに収まりきらず、引っ越してしまう例もあるのだ。

外部に貸すという選択肢も

 しかしながら、資産を持つことは決して悪いことではない。本社ビルとして手狭になれば、その物件は外部に貸すという選択肢もある。日本にある100年企業の多くは賃貸物件を持ち、賃料収入を得ている。企業を取り巻く外部環境は法改正やテクノロジーの発達によって急変するときがあり、本業の収益性が急落する局面がある。そんなときに収益を下支えしてくれるのが、賃貸物件の賃料収入だ。本業が悪くなっても賃料収入があるため、なんとか生きながらえるケースはよくある。

 企業が自社ビルを購入する機会は滅多にないが、キャッシュ以外の高度な経営判断が求められる。経営者としては、本業の将来性や資産を貸した場合の収益性も含めて、判断するのが良いだろう。

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