トランプ新政権から考える今後の不動産事情

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(写真=Seeworld88/Shutterstock.com)

OECD(経済協力開発機構)が推計する最新の世界経済見通し「エコノミック・アウトルック100(2016年11月)」によれば、アメリカの実質GDP成長率は2017年が2.3%見込み、2018年では3.0%の見込みとなっている。ユーロ圏がそれぞれ1.6%、1.7%見込み、日本が1.0%、0.8%見込み、そして、中国の成長率が2016年の6.7%から2018年には6.1%見込みであることを考慮すれば、アメリカ経済は今後も堅調だといえるだろう。

アメリカ経済が堅調に推移している理由として、トランプ新政権への期待が大きいといえるだろう。2017年2月の上下両院合同会議における無難な演説からも分かるように、辛辣な表現は控えてソフトトランプ化に終始徹底した。これが株式市場では高評価となっているようだ。

こうした状況は、日本にも好影響を与えそうだ。今回、アメリカの経済・金利情勢から日本に与える影響、特に不動産にどのような影響を与えそうかを考察していきたい。

米国中央銀行の動向について

まずは、米国中央銀行の動向、いわゆる「利上げ」動向について検証していこう。アメリカでは、雇用などの経済指標をもとに金利調整を行う。2017年3月10日に米国労働省が公表した2月の雇用統計(速報値、季節調整済み)によると、非農業部門における雇用者数は2017年1月比で23万5,000人増加した。市場予想が20万人程度とされていたため、ポジティブサプライズとなった。

また、失業率は前月比0.1ポイント減の4.7%で市場予想通り。労働参加率は63.0%と、2014年3月以来の好数字だった。労働参加率が上がっているなかでの失業率の改善は評価でき、アメリカ経済が一段と力強いものになりそうだと推測される。

利上げペースは、雇用統計結果を受けて早まる可能性が高まっている。FRB(連邦準備制度理事会)のイエレン議長は、雇用の伸びが力強く、長期的に持続可能な水準を上回っている可能性が大きいことを指摘し、利上げに正当性を持たせるような発言をしている。

ニューヨーク連邦準備銀行のダドリー総裁も、「利上げの主張は、一段と説得力がある」と、早ければ3月の利上げを示唆している。こうした状況から、早期利上げを見込む市場参加者も多くなってきた。今後も断続的に利上げを行い、平常時へと舵を切る可能性が高いと考えられる。

アメリカ経済の展望

アメリカ経済の力強さは、雇用統計以外の数字にも表れている。ISM(米供給管理協会)が発表した2月の製造業景気指数(総合)は57.7、新規受注指数も65.1と高水準となっている。景気判断の分かれ目が50であることからも分かるように、製造業においても景況感はいいといえる。他にも、アメリカの民間調査機関コンファレンスボードが発表している消費者信頼感指数からは消費者の購買意欲の高まりが見てとれるが、2月は114.8と2001年7月以来の高い数値だった。

これら消費、生産、雇用のいずれの点から見ても、今後のアメリカ経済が強いものになることが想定できるだろう。

日本との関係性は?

こうした力強いアメリカ経済とトランプ新政権の動向は、日本にどのような影響を与えるのだろうか。持ち前の辛辣な表現を封印したかのようなトランプ大統領の言動からいえるのは、日本にマイナスの影響をもたらすというより、プラスに影響するという側面のほうが強いのではということだ。

米貿易赤字に伴う対日協議は先送りとなり、協議は今後の予定である。必ずしも強い批判先となっているわけではないのだ。

ビジネス上、自動車業界などは注視されやすいが、アメリカ経済の好調さは、日本企業、特に輸出企業にとっては恩恵となるだろう。外交では今のところ、日米両首脳も大枠では意気投合し、順調な滑り出しとなっている。日米の関係は今後も強固となりそうだ。

日本の不動産への影響

他方、日本の不動産への影響はどうだろうか。アメリカ経済が好調であれば、アメリカ不動産価格は堅調なものとなるといえる。仮に利上げが進んだとしても、今後もアメリカ経済が堅調に推移することを鑑みれば、不動産にもプラスの影響が波及するだろう。

また、アメリカの利上げはドル高円安に作用する点も好材料といえる。海外から見れば、日本の不動産価格は対米ドルで割安感が出ることだろう。そうなれば、海外投資家が日本の不動産への関心を今後も強める可能性があるのだ。

このように、アメリカ経済の好調さが日本を含め全世界へと波及していけば、現状では外需の影響が強い日本経済もプラスとなりそうだ。

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