事業M&Aも視野に入れた事業承継と向き合う

(写真=turgaygundogdu/Shutterstock.com)

創業者が一代で築き上げてきた企業は、多くの場合、後継者問題をはらんでいる。子弟がいる場合、身内から後継者を探し出すことも考えられるが、少子化が進んだ現在では、身内から後継者を探すことは困難になりつつある。

後継者のあてもないまま何年も問題を先送りし、経営者・従業員ともに高齢化してしまうという事態が、これから目立つようになるかもしれない。今回は、事業承継として会社を残す手段である事業M&Aを考えてみたい。

事業承継、後継者問題を真剣に考える時代

前述の通り、身内から後継者を探す方法は難しい場合もある。そして、ギリギリまでこの問題を先延ばしにしているケースも多いようだ。結果的に、企業経営が維持できなくなり致命的な問題に繋がることもあるので、注意しなければならない。

少子化が進む今日では、自らの家族と親戚の周辺を見渡してみて、「事業承継できるような人材が存在するのか、しないのか?」という問題は早めに見極める必要があるだろう。仮に「身内に承継者がいない」と判断された場合、それ以外の方法で事業承継を模索することは、できるだけ早期から取り組む方がいいだろう。

せっかく一代で築いた企業も、経営者の死去で廃業となるケースが多発

創業者が苦労をして軌道に乗せた事業を「手放したくない」と感じるのは当然のことだろう。しかし、孤軍奮闘しながら事業を継続しても、後継者に関する綿密な策が練られていないと、創業者が亡くなった段階で廃業に追い込まれてしまうかもしれない。

「後継者を探すこと」は想像以上に難しく、安易になんとかなると楽観視することは危険なものなのだ。廃業した瞬間に会社の価値はすべて失われ、家族に残すものもなくなるのが現実である。さらに借入金の残債がある場合は、会社がなくなる以上の負担が、残された家族に及ぶことさえあり得る。

この問題は、経営者自身がどのように対処するかを、時間があるうちに冷静に考えて答えを出す必要があるだろう。先延ばしにして良い結果が得られることは、極めて稀である。

中小企業庁の「平成27年度(2015年度)の中小企業の動向」によれば、2013年までは企業の休廃業・解散件数は上昇し、年間3万件に迫る勢いとなった。その後は横ばいで、2万7,000件弱で推移している。したがって、後継者の目処が立たない場合には、これまでとは別の考え方に基づく事業承継というものを考える必要があるのではないだろうか。

事業譲渡を含めた新たな事業承継策を考える

身内のなかで後継者が見つからない場合、一つの選択肢として考えるべきことが、事業M&Aだ。せっかく一代で築いた事業を「売却」というかたちで手放すことに抵抗のある創業者がほとんどだろう。

しかし、よく考えてみていただきたい。例えば創業から一気に上場を果たし、株式を公開してしまえば、いわゆるパブリックカンパニーとなり、もはや創業者一族だけで経営を維持するということは難しいだろう。最近のIPOでは特にワンマン経営が目立たなくなっているのが実情だ。

会社というものは大きくなればなるほど創業者の手から離れる存在なのである。この発想に基づけば、中小企業といえども創業者の手を離れ、社会に貢献し続ける道を選択するということも考えられるのではないだろうか。

近年では、中小企業の事業M&Aも決して珍しいことではなく、専門のM&Aアドバイザリーなどを通じてスムーズな売却が可能になってきている。

さらに、それなりの時価総額が認められれば、家族に会社という形ではなく資産を残すことも可能になるのだ。事業M&Aは、事業承継対策として十分に検討する価値があるのではないだろうか。

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