仮想通貨「ビットコイン」、巨額消失事件で浮き彫りになったリスク

Treasure chest full of bit coin


(写真=PIXTA)

 ビットコインの取引所であるMt.Gox(マウントゴックス)が破たんし、最近になって代表者が逮捕された。「やっぱり」と思われた方も多いのではなかろうか。今回の不正は、取引所代表による不正であったが、もしそうでなければ、ハッキングによるビットコインの消失ということになっていた。いずれにせよ、ビットコインのリスクが顕在化したことに変わりはない。そこで、今回はビットコインのリスクについて改めて考えてみたい。

ビットコインとは

 ビットコインとは、インターネット上で取引される仮想通貨であるが、オープンソースであることから、誰でもプログラムの内容を見ることができ、極めて安全なシステムであるとされていた。しかし、今回のMt.Goxの事件を受けて、システム上の問題以上に、取引の態様やビットコインの持つ性質上のリスクが注目されるようになった。具体的には、次のようなリスクが考えられる。

価格変動リスク

 ビットコインを投資対象として取得する場合、価格変動リスクがある。そもそも、価格の決定自体も取引数が少ないので、公正な価格というものが存在するかも疑わしい。そんな中でも取引所の相場は日々大きく動いており、Mt.Goxの取引停止の時には当然のことながら急落した。

流動性リスク

 株などの金融商品に比べ参加者の数が少なく、簡単に売買できないという流動性リスクがある。それを解消するために作られた取引所であるMt.Goxが不正を行ったため、取引所の信用が失われ流動性がさらに悪化した。

規制リスク

 ビットコインは、法の規制を受けないことがメリットのひとつであるが、取引量が多くなれば、法規制されるリスクがある。現に、金融庁では規制に向けて動き始めており、取引所を免許制あるいは登録制にすることが検討されている。中国では金融機関によるビットコインの取引が禁止されており、将来、世界的に規制が強まれば、取引ができなくなる可能性がある。

サイバーリスク

 ビットコインはネット上で取引が行われるため、常にサイバー攻撃のリスクがある。セキュリティ対策が低い取引所に預けておいた場合、いつビットコインが不正に引き出されるか分からない。

モラルリスク

 ビットコインは規制がないため、取引所の運営については、代表者のモラルにかかっている。資産の分別管理の徹底や、セキュリティ対策がどこまで行われているか、ガバナンス体制は十分かなど、外部からは分かりにくいところがあり、あくまで自己責任で取引を行うしかない。

破たんリスク

 Mt.Goxでもそうだが、取引所が破綻しても保証制度はないため、被害者は救済されない。仮に残余財産があったとしても、多くの債権はカットされ、一部が配当として返ってくるにすぎない。

責任者不在のリスク

 ビットコインの特徴は国家による中央集権的な管理が行われているのではなく、ビットコイン保有者が全体で監視する分散型の制度ということである。しかし、裏を返せば、誰も責任を負わないということでもある。例えば、創業メンバーが売り逃げをして制度を終わらせたとしても、誰にも責任追及できない。

 以上のように、リスクの高いビットコインであるが、送金手数料が安いことや国家が信用できない場合のリスクヘッジ手段としては、優れた面もある。今後、ビットコインがどのように進化するかは分からないが、新たな仮想通貨も次々生まれてきており、また、仮想通貨の流通が増えれば、国家が電子通貨のようなものを創設する可能性もある。その意味でビットコインの将来性は、まったく未知数であるが、仮想通貨に一石を投じたという意味でビットコインの功績は大きい。リスクを見極めながら少額投資するというのであれば、おもしろい投資対象といえる。

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