「老舗企業」、創業何年目から名乗れる?

(写真=Brian A Jackson/Shutterstock.com)

日本には、古くから続く老舗企業が多いことが知られている。最古の企業とされるのが、飛鳥時代に聖徳太子の寺院建立にも関わったとされる「金剛組」が有名だろう。なんと578年の創業だ。こうして見ると、ひとくちに「老舗企業」と言っても、その存続年数は数世紀から100年以下までさまざまだということが分かる。

一体、「老舗企業」とは、創業何年目から名乗れるのだろうか。老舗の語源やその基準を調べてみた。

老舗の語源は「為似す・仕似す(しにす)」

そもそも、老舗の語源はどこから来ているのか。広辞苑によると、「先祖代々の業を守りつぐこと。先祖代々から続いて繁盛している店。また、それによって得た顧客の信用・愛顧。」とある。

語源由来辞典によると、老舗とは“動詞「為似す・仕似す(しにす)に由来し、「似せる」「真似てする」などの意味から、江戸時代に家業を絶やさず守り継ぐ意味となり、長年商売をして信用を得る意味で用いられるようになった。やがて、「しにす」の連用形が名詞化され、「しにせ」となった。”とされている。

ちなみに「老舗」と書いて「しにせ」と読むのは特殊な読み方で、「老」は長い経験を積んださまを示し、「舗」は店を示すことから、長い経験を積んだ店のことを指す当て字として使われるようになったという。なお、漢字本来の読み方通り「ろうほ」と読むのも誤読ではないようだ。

「老舗企業」に明確な基準はない

結論から言うと、「老舗企業」と名乗るための明確な基準はない。上記の語源由来辞典では「現代では一代目であっても、経験を積み信用があるものに対して老舗と呼ぶことも多い」とある。

なお、企業調査や会社経営に関わる以下の企業・団体では、それぞれ以下のような基準を設けているので参考にしたい。

・ 帝国データバンク:創業100年以上を「長寿企業」と呼んでいる。
・ 東京商工リサーチ:創業30年以上を「老舗」と定義 している。
・ 日本老舗サイト:創業から100年以上が経過、または3代以上にわたって経営している店を掲載している。
・ 東都のれん会:「100年、3代にわたって同業で継続し、現在も盛業」な都内企業、店舗が加盟している。

創業100年以上の老舗は全国で3万社以上

東京商工リサーチの「全国老舗企業調査」によると、2017年に創業100年以上となった老舗企業は、全国で3万3,069社あるという。2012年8月の前回調査より5,628社(20.5%)増加した。

最古の企業は上記の金剛組だが、2位は華道「池坊」の一般財団法人池坊華道会(京都府、587年創業) 、次いで武田信玄や徳川家康も訪れたとされる旅館業の西山温泉慶雲館(山梨県、705年創業)と続く。業歴1000年以上(創業1017年以前)は7社あった。

業種別では、「清酒製造業」(850社)、「貸事務所業」(694社)、「旅館,ホテル」・「酒小売業」(それぞれ693社)がトップ3。地域別では、全国で企業数に占める老舗企業の割合(老舗率)のトップは北陸。加賀藩前田家の城下町として発展した金沢のほか、古くから温泉地として栄えた地も多く、漁業や眼鏡フレームの製造、薬売りなどの地場産業が今なお盛んなのが強みのようだ。

老舗企業の売上高トップは、日本生命保険(1889年創業)で7兆7,448億円。次いで、JXエネルギー(1888年創業)が6兆3,695億円、丸紅(1858年創業)が6兆1,277億円)となっている。売上げ規模では、「1千万円以上1億円未満」が1万853社(構成比32.8%)と最も多い。

パナ、住商、ヤマト運輸も長寿企業の仲間入りへ

2020年の東京五輪までの3年間で、パナソニック(1918年創業)、住友商事、ヤマト運輸(それぞれ1919年創業)などの大企業も100周年を迎えることになる。厳しいビジネス環境の中、長寿企業として生き残るためには、老舗のあり方を今一度学ぶべきかもしれない。

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