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佳境TPP、まとめと今後の見通し


TPP
(写真=PIXTA)

 環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉が佳境を迎えている。7月末の会議では大筋合意に至らず決裂していた。特に関税を撤廃する自由貿易では世界貿易機関(WTO)主導でルール策定を目指していたが、関係者の利害調整が困難を極め結局はまとまらず自由貿易協定(FTA)で落ち着くだろうという読みもある。次回の閣僚会合といった今後のTPP交渉における具体的なスケジュールはいまだ決まっていない。

TPPが合意に至らず決裂した理由は?

 ニュージーランドとオーストラリアが強硬な姿勢を打ち出したことが、TPP交渉決裂の理由といわれている。

 酪農が盛んで生産した乳製品の約95%を世界中に輸出しているニュージーランド。TPP合意のメリットも乳製品の輸出によるところが大きい。ご存知のように日本ではバター不足が問題となっているが、それでも依然としてバターには35%という高率の関税をかけ、国内酪農家の保護を行っている。そこで日本は乳製品の輸入枠約3万トンを設け、ニュージーランド側に歩み寄る計画だった。しかし、ニュージーランドは日本の輸入枠の3倍に当たる約9万トンを要求。日本のほかにも米国やカナダといった国に対しても輸入枠の大幅拡大を要求。これらの要求量をすべて合計するとニュージーランドの輸出量を超えるほどの要求となっていた。このあまりに非現実的なニュージーランドの要求に対し、多くの国は反対を表明。合意に至らなかった模様だ。

 もうひとつのオーストラリアとの課題は、医薬品に関する知的財産問題だ。新薬開発を積極的に行い多くの製薬会社がある米国は、新薬の知的財産保護期間として12年を主張。新薬開発にかかるコストを回収する期間としてできるだけ長い期間を求める米国に対し、年金生活者や低所得者層に対し安価な医薬品を提供する法律を持つオーストラリアでは、TPPにより製薬会社が高い薬価の請求が続けば、差額を財政で負担しているため財政悪化が懸念事項となる。そこで、安価な後発薬のジェネリック医薬品を使いたいという気持ちからオーストラリアは保護期間5年を主張。閣僚会議ではあいだを取って8年という妥協案もあったが結局、合意に至ることはなかった。

TPP合意の行方

 TPPの合意には関係各国12ヵ国の合意が必要となるが、まるでパズルのピースを埋めていくかのような複雑さを呈している。

 合意に至らなかったニュージーランドにしてみれば、そもそも当初から関税の撤廃をもとに議論していたのに、輸入枠の拡大に議論がすり替えられていることが不満としてあるだろう。オーストラリアにしても、財政悪化により保険制度が崩壊してしまわないかというのは切実な問題だ。

 TPPの交渉が開始したのは2013年7月で、まだ2年ちょっとと短いように思えるが、実際はTPP交渉に入るかどうかという議論はその2年以上も前から開始している。関係各国も同様に時間をかけているため、これまで議論してきたことをすべて無にして何も合意しないということは考えづらい。ただし、交渉のメインの米国では2016年の大統領選があるため、ますます政府や議会との調整は難しいものとなりそうだ。交渉への時間がなくなる中、今後のTPP交渉の行方からはますます目が離せないだろう。

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