アジアで話題のシェア自転車は日本定着なるか?

(写真=GaudiLab/Shutterstock.com)

中国発の自転車シェアサービスが、シンガポールやマレーシアといった東南アジア、さらに欧州への広がりをみせている。

サービスの拡大にあたり、さまざまな社会的トラブルを抱えてはいるものの、健康志向やシェアリングエコノミーの機運に乗り、参入企業やユーザーが増加している。日本でも、シェア自転車のサービス導入に向けた社会実験が始まった。

自転車の貸し出し、決済はアプリ上で完結

シェア自転車の世界最大手は、中国発の「モバイク」。中国を中心に、世界200都市以上でサービスを展開している。

シェア自転車は、街中に置かれた自転車をユーザーが見つけ、アプリを使って解錠する。目的地について再び自転車を施錠したら、クレジットカードを使ってアプリ上で利用料金が決済される仕組みだ。観光地などで見られる従来型のレンタル自転車とは異なり、自転車の貸し出しに業者は介在しない。

また、モバイクのように中国で爆発的に普及したシェア自転車は、「乗り捨て型」であるのが特徴だ。街中に放置された自転車をユーザーが解錠し、目的地に到着したらその場で乗り捨てればよい。放置された自転車は、次のユーザーが再び利用するという流れなのだ。

中国国内ではすでに転換期、社会問題にも

ただ、ブームの先端を走る中国国内では、シェア自転車サービスはすでに転換期を迎えている。2017年11月には、業界大手の小藍単車(ブルー・ゴー・ゴー)が経営破綻するなど、半年で6社が相次いで倒産した。

中国でシェア自転車サービスが開始されたのは2016年ごろ。わずか2年弱で爆発的に普及し、70社超の運営会社が参入したことで、値下げ合戦による業界の淘汰が始まった。その結果、退会の際に返ってくるはずだった保証金が返金されないなどのトラブルが続出している。

また、「乗り捨て型」のシェア自転車には、いたるところに放置された自転車による景観の悪化や利用者マナーの悪さへの批判、私有地への立ち入りなどのトラブルが勃発している。

このような状況は中国に限らず、オーストラリアでも多発している。シンガポール発のシェア自転車大手「オーバイク」の自転車が街中で放置され、公園や歩道、川の中や街路樹の上に捨てるなどのいたずら被害にあったと報じられている。

一方、台湾や欧州の一部では、乗り捨て型のシェア自転車サービスを禁止しており、オーバイクも専用の駐車場を設けて対応している。

LINEが「モバイク」の日本法人と提携

そうした中、日本でもシェア自転車の普及を推進する動きが広まっている。2017年12月20日、無料通信アプリのLINEは「モバイク」(本社・中国)の日本法人と提携し、サービスを展開していくと発表した。

モバイクはすでに、札幌などで日本向けのサービスを開始している。今年上半期中には、LINEのアプリ上でモバイクの駐輪場検索、自転車の解錠や施錠、「LINEペイ」での決済を可能にするとしている。

また、コンビニ大手のセブン‐イレブンは、ソフトバンクと共同で自転車シェアのサービス提供に乗り出している。これは、ソフトバンクが展開する自転車シェアサービスの駐輪場をセブンーイレブンの敷地内に設置するというもので、2018年度中に1,000店舗での設置を予定している。

一方、NTTドコモが運営する「ドコモ・バイクシェア」は、自治体から委託を受けて自転車シェアサービスを提供している。この取り組みでは、東京都内の7区(千代田区・中央区・港区・新宿区・文京区・江東区・渋谷区)をまたいだ自転車シェアリング広域実験を実施している。このように日本でもシェア自転車の普及を促進する動きが着実に広まっていることが分かる。

日本では「専用ポート式」サービスが有望か

専用の駐車場を探して駐輪したり、乗った地点に再び返却したりする手間がなく、目的地までの「ラストマイル」をつなぐ手軽な交通手段として普及したシェア自転車だが、日本国内で定着するには、まず駐車スペースの問題がやり玉に挙がりそうだ。

なぜなら、中国やその他の都市で普及した「乗り捨て型」は、公共マナーに厳しい日本人の性格にそぐわないと考えられるからだ。日本で定着を図るならば、今現在までに複数の自治体や事業者が導入しているような「専用ポート式」と呼ばれるスタイルに落ち着くと考えられる。ただ、専用ポート式で普及拡大するには、人々が利用したくなるようなルート、目的地への駐車場設置が求められるだろう。

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