第2創業に!事業承継補助金を活用しよう

(写真=PIXTA)

少子高齢化による国内市場の縮小や人材難が顕在化する中、後継者への事業承継に悩む経営者もいる。一方で、元気な若手経営者の中には、事業承継を機に、自社を一段と飛躍させたいと願う向きもある傾向だ。今回は、事業承継で新たな取り組みを始めたい経営者の強い味方となる「事業承継補助金」について紹介する。

事業承継する後継者には驚くほどの経済的負担がのしかかることも

事業承継時には、株式取得や相続税・贈与税といった税金の支払いなどで、多額の資金が必要となる場合がある。「うちは中小企業だから大丈夫」と高をくくっていても、業績がよい場合などは株式の時価評価額が跳ね上がり、後継者に驚くほどの負担がのしかかることもあるのだ。こうした事業承継時の経済的な負担を減らし、円滑なバトンタッチを進めるために事業承継税制という制度が設けられている。

2009年度の税制改正で創設された制度で、中小企業の後継者が先代から会社の株式を承継する場合、相続税・贈与税が軽減される制度だ。5年間にわたって、相続分については80%、贈与は100%全額、納税猶予が受けられる。(2018年度の改正では、全株100%が対象になる)2013年、2017年の税制改正で制度の見直しや拡充が図られたことで、ずいぶん利用しやすくなったという声もある。

しかし、この制度はあくまで「納税猶予」であり、いつかは支払いをしなければならないものだ。こうした税金などの支払いに追われ、せっかく事業を承継しても、補助金のような仕組みがなければ、新規事業を立ち上げようなどという余裕が持てないという経営者も多いかもしれない。

事業承継補助金の目的・概要

事業承継補助金は、経済産業省中小企業庁を主体として、「創業・事業承継補助金事務局」が運営している。その目的や概要を引用すると以下となる。

『「事業承継補助金」は、事業承継(事業再生を伴うものを含む)を契機として経営革新等や事業転換(以下、併せて「新たな取組」という。)を行う中小企業に対して、その新たな取組に要する経費の一部を助成(以下「補助」という。)する事業で、新たな需要や雇用の創出等を促し、我が国経済を活性化させることを目的とします。』

補助率は経費の3分の2までで、補助金額の範囲は以下の通りだ。補助金は、交付額が確定した後に、精算払いで支払われる。

1.事業所の廃止・既存事業の廃止・集約を伴わない場合:補助上限200万円
2.事業所の廃止・既存事業の廃止・集約を伴う場合:補助上限500万円
※経営革新等に要する費用として上限200万円
※事業所の廃止等に要する費用として上限300万円

補助金申請の注意点

事業承継補助金は、年度ごとに公募が行われ、審査を経て交付される。申請は、企業経営者のほか、個人事業主でも可能だ。補助金を受けるための条件としては、経営革新等の内容や補助事業期間を通じた事業計画の実行支援について、認定経営革新等支援機関からの確認を受けている必要がある。認定機関は地元の商工会議所や金融機関などだ。中小企業庁のウェブサイト、もしくは最寄りの経済産業局で照会できる。

なお、先代経営者から事業を引き継いだ場合は「承継」となるが、経営革新等の内容によっては「創業」と見なされて、補助金の対象外になってしまうこともあるため、注意が必要だ。認定経営革新等支援機関は、申請の前に相談者が計画している事業の新規性や実現可能性、収益性などを確認する。補助金の対象外かどうか不安な場合は、率直に相談してみよう。

新米経営者の第一歩として経験すべき

2017年度の「事業承継補助金」公募(2017年5月8日~2017年6月2日)では、応募総数は517件、採択総数65件だったという。約10%程度の採択率で、補助金を得るのは狭き門といえるかもしれない。ただ、必要条件となっている認定経営革新等支援機関による助言と確認は、自分が立てている事業計画が妥当かどうか、専門家からのアドバイスを受けられる貴重なチャンスだ。

また、役所との書類のやりとりは経営者として欠かせないものであり、地域の金融機関や商工会とのつながりをつくるチャンスでもある。もし採択されなかったとしても、新米経営者の第一歩として、勉強になることは数多くあるだろう。

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