相続対策で資産管理会社を立ち上げるメリット

(写真=PIXTA)

富裕層を中心に、親族を役員とする資産管理会社の設立は、資産防衛の手段として用いられることがある。法人成りすることで、個人の所得に課せられる所得税と法人税の実効税率の差を利用して、合法的に節税するのだ。

今回は、資産管理会社を立ち上げるメリットを再度確認するとともに、その注意点についても見ていきたい。

親族を役員に据えて将来の相続に備えよう

法人成りした場合のメリットとして「経費」のもたらす効果があるのだ。法人成りすると、事業にかかる費用を経費に計上できる範囲がぐっと広がる。特に、富裕層の場合は役員に対する「報酬」を経費として計上できるということがうまみである。ただし、個人の資産を配偶者や子どもが相続する場合、相続時に莫大な相続税がかけられる可能性があるのだ。

そこで、配偶者や子どもを資産管理会社の役員にしておき、給与という形で毎月資産を移転させるのだ。こうすれば、合法的に相続税の支払いを節税することができ、将来の相続対策につながるというわけだ。

資産管理会社による不動産運営で相続対策

もうひとつの相続対策として、法人での不動産所有がある。不動産経営をしていた場合、所有を個人から法人に移転させることで、次の3つの効果をもたらす。

1.個人で所有する相続財産を減らす

2.土地の相続税評価額を引き下げる

3.金融資産の生前贈与

まず、1については、個人の財産を減らすことで、相続税も減らすことができる。財産を移転するというと財産が減るように感じるかもしれないが、資産管理会社はそもそも一族の手で運営するので、他人に資産が渡ることはない。

2については、収益物件のある敷地の賃貸借契約を個人から法人へと変更することで、相続税評価額を通常よりも減額できる。

3については、法人へ移転する収益物件を直接相続人に相続させないかわりに、役員給与という報酬の形で、生前贈与できるのだ。

資産管理会社は事業承継税制が認められないデメリットも

このように、メリットが多く感じられる資産管理会社の設立だが、いくつかデメリットもある。例えば、公務員のように副業禁止の規定がある場合、自身を代表者や役員としてしまうと規定に抵触する可能性がある。こうした場合は、配偶者や子どもを代表者にすることで回避したほうが賢明だろう。また、資産管理会社は事業承継税制が認められないことにも注意すべきだ。

事業承継税制は2009年度税制改正で創設された制度で、中小企業の後継者が、現経営者から会社の株式を承継する場合、相続税・贈与税が軽減される。具体的に相続分は80%、贈与税は100%全額が5年間にわたって納税猶予が受けられるのだ。さらに、2018年度の改正ではさらに要件が緩和され、「後継者が1人でない場合でも最大3人まで適用できる」「全株100%を対象にできる」など、ますます制度が使いやすくなる見通しだ。

ただし、この事業承継税制の適用が認められる会社の要件はいくつかあり、そのひとつに「資産管理会社に該当しないこと」とあるためだ。事業承継税制の適用が認められる会社の要件とは、以下の通りだ。

1.被相続人の要件
・代表者であったこと
・相続前に被相続人および被相続人と特別な関係がある者で総議決権数の50%超を保有すること
・相続開始時において同族関係者内で後継者を除き筆頭株主であること

2.経営承継相続人等の要件
・相続開始後5ヵ月経過時において代表権を有している代表者であること
・同族関係者と合わせて発行済議決権株式総数の過半数の株式等を保有し、かつ同族内で筆頭株主となること

3.認定対象会社の要件
下記の大臣認定対象外となる会社に該当しないこと
・中小企業者に該当しない会社
・上場会社、風俗営業企業でないこと
・従業員が1人以上であること
・総収入額がゼロでないこと
・資産管理会社に該当しないこと

資産防衛の第一歩は節税対策

資産防衛の第一歩は節税対策だ。日本では累進課税制度が設けられているため、収入が高くなるにつれて税負担も大きくなってしまう。だからこそ、資産管理会社のメリット・デメリットをしっかりと比較して、効果的に後の代へ資産を引き継いでいくことが大切といえるだろう。

【オススメ記事】
資産管理会社プライベートカンパニー設立は節税になる?
なぜ、富裕層の「相続」は20年前に勝負がつくと言われるのか?
不動産投資するなら資産管理会社を作った方がいい5つの理由
経営者に資産管理会社を勧める3つの理由――相続を見据えて――
FP、IFA、PB……資産の相談相手として信頼に足る相手か見極めるポイント

イベントスケジュール