不動産の売買マーケットと賃貸マーケットの動向を把握するための指標とは?

Keep the real estate market growing(写真=PIXTA)

 2015年の7月頃から都心のオフィス賃料が上昇し始めたというニュースが流れ始めた。いよいよ賃料も上昇局面に突入し始めたようだ。ところで、この何気ないニュースを不思議に思ったことは無いだろうか。既に地価については2014年から土地価格を示す地価公示が上昇し始めている。今になって遅ればせながら賃料が上がっているのだ。理屈からすれば賃料という収入が上がるから土地価格も上がると考えがちだが、実際のマーケットはそうはなっていない。実はこの経済現象は昔から見られ、不動産の価格上昇は賃料上昇に先行するのが一般的なのだ。そこで今回は不動産マーケットが活性化するプロセスと、不動産の売買マーケットと賃貸マーケットの動向を把握するための重要な指標3つを選び解説する。

まずは投資ありき

 景気の先行指標として、企業の設備投資の増加がある。企業の設備投資が活発化すると、その後に実体経済が好転する。不動産マーケットもこれと似たような動きをする。不動産市場に投資マネーが流れ込むと不動産価格が上昇し、その後、実態的な利益を生む賃料が上昇する。両者に共通するのは投資が先行する点だ。投資が先行している時は、賃料はまだ上がっていないため、土地価格が上昇する合理的な理由は無い。この時はあくまで投資家の先行きに対する「期待感」という投資家心理が高まることで土地取引が活発化し、価格が上昇する。

1つ目は取引件数

 不動産の売買マーケットでは、「取引件数」と「金利」の2つが重要な指標となってくる。売買マーケットは通常、賃貸事業が成り立たない郊外の物件も含まれてくる。そのため売買マーケットの対象とするエリアは賃貸マーケットよりも遥かに広い。売買マーケットは収益物件から地方の土地まで様々な不動産を含むことになるが、共通して言えることは取引件数が価格の先行指標となっていることだ。郊外の土地であっても土地取引が増加すると、その後に価格も上昇してくる。

2つ目は金利

 2つ目は金利である。本来、景気が上昇すれば金利も上昇してくるが、今の日本の不動産取引は超低金利政策に支えられている部分が大きい。例えば、戸建住宅やマンションなどは、超低金利により住宅ローンも低くなっているため、最終購入者が住宅を購入しやすくなっている。そのため住宅の取引件数が増加し、価格が上昇している。また収益物件については、金利が低いことが投資家の期待利回りを低くさせ、収益物件価格の上昇に寄与している。収益物件の価格は純収益を利回りで割ったもので求められるため、利回りが低ければ収益物件の価格は上昇するのだ。このように金利は住宅ローンや投資家の期待利回りに直接的に関係する。今後、景気の上昇が続き金利が上昇すれば、逆に売買マーケットは失速してしまうという非教科書的な現象が見られるかもしれない。

3つ目は空室率

 3つ目の指標としては、賃貸マーケットで重要な「空室率」を挙げる。空室率は賃料の先行指標である。空室率が低くなると、賃料が上昇する。賃料が上昇へと反転する空室率の目安は4%台と言われている。数か月前、都心5区の空室率が4%台に突入したが、ようやく現時点に至って賃料の上昇傾向が見え始めた。賃料は価格と比べると粘着性があるため、価格よりは動きが鈍く、上昇幅も少ないためだ。今後都心5区から首都圏まで賃料上昇が波及するには、まだまだ時間がかかると予想される。

数カ月先の未来は描ける

 以上、売買マーケットでは「取引件数」と「金利」、賃貸マーケットでは「空室率」と3つの指標を見てきた。これらは従来から典型的な指標であるが、売買と賃貸のマーケットでの動き方には時間差がある。取引件数が上昇しても同時に空室率は下落しないため、価格と賃料の上昇タイミングにはかなりのタイムラグが生じるのだ。

 これからは取引件数、金利、空室率、この3つのニュースに注目することで、数カ月先の未来を予測できる投資家となることができるだろう。

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