これからの経営はファシリティマネジメントの時代

(写真=Alfa Photo/Shutterstock.com)

経営資源において特に重要なものは、「ヒト・モノ・カネ」の3つだと言われる。そのうち、企業が保有する不動産は「モノ」として重要な資産である一方で、有効に活用されない不動産は、膨大な固定費を発生させるコストセンターだともいえるだろう。今回は、業務用不動産を最適化するファシリティマネジメント(FM)の重要性について見ていきたいと思う。

日本におけるFMの定義

日本国内でファシリティマネジメントの重要性について啓もう活動をしている公益社団法人、日本ファシリティマネジメント協会(JFMA)は、FMを「企業・団体等が保有又は使用する全施設資産及びそれらの利用環境を経営戦略的視点から総合的かつ統括的に企画、管理、活用する経営活動」と定義している。

日本では昨今、CRE(Corporate. Real Estate、企業不動産)を有効活用するための戦略の重要性が改めて注目を集めているが、日本におけるFMの定義はCRE戦略を内包しているともいえるだろう。

「失われた20年」で見過ごされた不動産のコスト

日本企業は、バブル崩壊後の「失われた20年」で、人事制度改革を含むリストラを断行してきた。これは、終身雇用制に守られた正社員の人件費が、経営費用の中で最大のパイを占めてきたからだ。一方、日本企業の保有する資産の36%は不動産が占めるともいわれる。不動産にかかるコストは大部分が固定費で、しかも日本の施設関係費は世界で最も高額だともいわれている。

高度経済成長期からバブル経済の時代では、日本の地価が上昇を続け、企業は土地や不動産の取得に躍起になった。しかし、その後の地価下落と人員縮小の時代では、バブル期に取得された多くの施設(いわゆる「ハコモノ」)に多額のコストがかかる一方で、活用が低調だったり、不適切だったりするものも多く見られる。人件費の削減は経営課題として積極的に取り組むものの、不動産にかかるコストは案外見過ごされてきたのではないだろうか。

企業がFMに取り組むべき理由

FMに取り組む効果として、JFMAは以下のメリットを掲げている。

・不要な施設、不足な施設、不適当な使われ方の施設が明らかになり、経営にとって最適な施設のあり方が示される
・施設の改革によって、経営効率の向上が見込める
・施設に関わるコストを最小化できる
・顧客、従業員その他の施設利用者にとって快適・魅力的な施設を実現する
・省エネルギー化に取り組むことで、環境問題の解決にも寄与できる

このほか、「資産の保有・活用について株主をはじめとするステークホルダーへの説明責任を果たす」「不動産価格の変動による価値リスクを防ぐ」といった点も、企業がFMに取り組むべき理由だ。

ただし、FMはやみくもに活用されていない不動産を売却すれば良いというわけではない。有効でない不動産を売却し、活用できる不動産に買い換えるという決断も必要だろう。

FMとしてのメリットも多い「区分所有オフィスR」

不動産が上がり続ける時代が終わり、活用されていない不動産は負債にもなりかねない現在。中小企業も、融資の担保としての受動的な不動産だけでなく、事業活動に直結し、資金需要にも臨機応変に対処できる流動性の高い不動産を所有し、積極活用すべきだろう。

そうした中で昨今注目されているのが、「区分所有オフィス」だ。

オフィスビルの一部を区分所有する「区分所有オフィス」は、投資額に比べて、よい立地でより広く使い勝手の良い物件を取得できるのがメリットだ。例えば、都心で5~10億円を投じてオフィスビルを所有しようとすると、狭いフロアのいわゆる「ペンシルビル」がほとんど。床面積の狭いペンシルビルでは用途が限定されるため、資産としての評価や流動性が下がってしまう。区分所有オフィスなら、客付きがよく希少価値の高いエリアで需要の高いオフィス物件を取得しやすくなる。

立地の良いオフィス物件を一棟所有するのは、中小企業にとって少々資金面でハードルが高い。しかし、そうした希少価値の高いオフィス物件を区分ごと所有する「区分所有オフィス」であれば、取得コスト、ランニングコストともに負担を軽減することができる。

立地の良い区分物件であれば賃貸の客付きも良いため、自社オフィスとして利用するだけでなく、賃貸オフィスとしても活用できるだろう。また、流動性が高いため、売却すれば突然の資金需要にも応えることができる。

業務用不動産を最適化するFMの一環として、区分所有オフィスの活用を検討してみてはいかがだろうか。

※「区分所有オフィス」は株式会社ボルテックスの登録商標です

【オススメ記事】
優れたリーダーに求められる「5つの要素」とは?
こんなに多い日本の100年企業 100年続く秘訣とは?
日本建築、寝殿造り、書院造りなどから学ぶ日本の文化
経営者に資産管理会社を勧める3つの理由――相続を見据えて――
経営者なら知っておきたいESGの視点 長期的に企業価値を高める新しい判断基準

イベントスケジュール