地方オフィス市場の現状と展望・東京一極集中の危険性

(写真=taka1022/Shutterstock.com)

継続する人口の減少、技術の発達によるテレワークの拡大、働き方改革の推進など、オフィス市場の未来は決して明るいものではない。

特に東京の市場においては、完全な供給過多の様相を呈しており、賃料の引き下げや空室率の増加が後を絶たない。にもかかわらず、2018年と2019年の2年間の平均供給床は23.3万坪となっており、これは過去10年間(2007-2016年)の年平均18.0万坪を3割近く上回る水準なのだ。そして東京にとっては節目の年となる2020年には、更に30万坪の供給が予定されているなど、東京は完全な床余りの状態になっていると言えるだろう。

一方、東京と真逆の様相を示しているのが地方オフィス市場である。ここでは、地方オフィス市場の現状と展望、そしてそれらを見据ながら、東京市場で取るべき対策について紹介していこう。

なぜ地方オフィス市場は活況になっているのか。

現在の地方オフィスマーケットは、需給バランスにおいては東京の真逆の状態を示している。ビルを借りたいという人はいるのに、そもそも空室がないという状態だ。

これは、リーマンショックによる景気の低迷を背景に、地方でのオフィスビル開発が減少したことが原因と言われている。

地方都市の代名詞である大阪では、2017年に過去最大級の需要拡大期を迎えている。2010年の梅田阪急ビル、2013年のグランドフロント大阪の竣工など、立て続けにランドマーク的なビルが建てられたことが発端となっているのだろう。その結果、同年末時点の空室率は2.5%と、1993年の調査開始以来の最低値を更新している。

このように需要が増えている一方で、新規供給の年平均は5,000坪と、過去10年間の年平均3.3万坪を大きく下回る水準だ。借りたい人はいるのに、借りられる部屋がない、そのような状態はこれからも続いていくことが見込まれ、賃料相場もそれに応じて上昇することが予想されている。

名古屋においてもその傾向は同じで、2015年から2017年にかけて、名古屋駅周辺で大規模ビル開発が行われたものの、今後の新規供給は減少する見込みであり、供給よりも需要が勝るという状況は続いていくだろう。

変革を求められる、東京のオフィスのあり方

こうした状況の中で東京のオフィス事業に求められるのは、単なる床面積だけでなく、それ以外の付加価値を提供することだ。

近年では、不動産業界大手の三井不動産や、東京建物、森ビルといった面々が、次々と「シェアオフィス事業」に参入してきている。働き方改革などが叫ばれる中で、より安く、効率的にビジネスを行いたいという市場のニーズを鑑みてのことだろう。

また、オフィスとは別物ではあるが、同じ床余りに対する対策としての「シェアハウス」もその市場を順調に拡大している。シェアハウス総合メディアサイトの調査によれば、その数は2万個以上に上るという。

今後、東京のオフィス市場で戦っていくためには、時代に合わせた柔軟な発想と変化を許容し、実際に運用にまで移していける体制を整えておくことが大切になるだろう。

苦戦を強いられる東京市場だからこそ活用したい「区分所有オフィス®」という考え方

売りたいけれど買う人がいない。買う人はいるけれど、その人が求める物件の条件ではない。そうした課題が見られる東京市場において、最近注目を集めているのが「区分所有オフィス」という新しい不動産所有の形だ。

「区分所有オフィス」の場合、ビル丸ごとを所有するのではなく、そのフロアや部屋ごとに区分けして不動産を所有することができるため、リスクを低減しつつ、かつ改装などの変化にも柔軟に対応していくことが可能になる。

自社オフィスとして使用する場合はもちろんだが、先ほど紹介したようなシェアオフィス・シェアハウスなどにも応用させることができるだろう。

これからの東京のオフィス市場を鑑みると、「区分所有オフィス」という形式が、不動産所有において長期的なメリットをもたらす非常に有効な手段となすはずだ。

※「区分所有オフィス®」は株式会社ボルテックスの登録商標です

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