不動産を活用し、上手に相続税の対策をするには?

(写真=Brian A Jackson/Shutterstock.com)

自分や親の年齢が上がってくると、どうしても考えなければならなくなるのが相続の問題だ。
そして、相続の際に最も気をもむのが、相続税の問題だろう。場合によっては、大きな負担だけを下の世代に残してしまうことも考えられる。
ここでは、不動産を活用した相続税対策について紹介していこう。

2015年より相続税の基礎控除額が減少

高度経済成長期における時価の上昇を反映し、相続税の基礎控除額は拡大を続けていた。その影響もあり、バブルの崩壊後も据え置きになっていた基礎控除額だったが、2015年1月、相続税・贈与税の改正が行われ、大幅に縮小されることとなったのである。

具体的には、それまでの基礎控除額は「5,000万円+(1,000×法定相続人数)」であったものが、「3,000万円+(600万円×法定相続人数)」になったのである。数字にして40%もの減少となり、相続税を納める立場の者からすれば、非常に大きな負担となってしまったと言えるだろう。

また従来であれば、相続財産額が3,600万円であった場合、課税対象とはなっていなかった人たちも、この改定により課税の対象になり得てしまうということでもある。そもそも払わなければならなかった人たちはより大きな額を、元々は払わなくてもよかった人たちには支払いの義務が課せられる可能性が出てきたということだ。

相続税対策としての不動産活用に注目が集まる

そこで今注目を集めているのが、不動産を活用した相続税対策だ。不動産を購入しておくことが節税対策になるというものなのだが、この仕組みを改めて説明しよう。

例えば、親が1億円の現金を持っていたとする。その親がそのまま亡くなった場合、残された1億円の現金はそのまま相続財産となる。つまり、1億円分の相続税を支払わなければならないということだ。

それに対し、この1億円を使って親が土地を買ったとしよう。そうした不動産を相続した場合、実際に売買された価格によって相続税が算出されるのではなく、国税庁が決定している路線価という価格が評価基準になり、相続税が決定される。

土地の評価額は「路線価×地積」で求められるため、例えば1億円で買った土地が、路線価20万円の400㎡だったとすると、合計額は8,000万円となり、課税の対象となる金額に2,000万円もの差が出るということだ。

土地ではなく建物を購入した場合、課税対象となる金額はさらに下がる傾向がある。なぜなら、土地の評価額が路線価をもとに算出されるのに対し、建物は固定資産評価額という独自の算出方法が適用されるからだ。これは最大で時価の50%程度まで下がることがあり、そうなれば1億円の物件を買っても課税の対象は5,000万円となり、大幅な節税対策になると言えるだろう。

さらに言えば、購入した物件を第三者へ賃貸することによる節税も可能になる。土地や建物を第三者に貸した場合、借地権割合という数字が新たに登場し、課税対象金額が減少するのである。

具体的に言えば、「土地や建物の金額×(1-借地権割合)」という算式が使われるようになる。借地権割合は地域によって様々だが、一般的には60~70%と言われている。

ここで改めて計算してみよう。1億円を持っていた親が、そのお金で1億円の建物を買ったとする。それが固定資産評価額に基づいて計算されると、時価5,000万円の評価になった。さらにその建物を人に貸した場合、5,000万円×(1-借地権割合60%)=2,000万円となる。つまり、課税の対象は2,000万円になったということだ。

1億円を現金で持っておくか、それとも不動産活用をするか。どちらが相続税の影響を受けにくくなるか、明らかになっただろう。

「不動産小口化商品」なら、効果的な不動産活用が実現可能!

このような不動産と相続税の関係性もあり、現在注目を集めているのが不動産特定共同事業法に基づく「不動産小口化商品」である。

不動産一棟すべてを所有するのは、初期費用の面はもちろん、所有後の空室状況や運用など、さまざまなリスクと戦わなければならず、簡単な投資とは言えない。

しかし、不動産小口化商品であれば、複数人で出資を行い、共同で物件を所有することができるため、資産価値が高く、高い入居率の見込める個人ではなかなか手が出せないような都心のビルやマンションのオーナーになることができる。また、出資後は不動産のプロである事業者が、運営・管理を行ってくれるため、購入後に何かしらの施策を講じる必要もなく、非常に手軽に分配金を得ることができるのが魅力だ。

また、不動産投資信託(J-REIT)と違い、不動産小口化商品は現物不動産と評価方法が同じという点も注目を集める理由の一つだろう。つまり相続税対策にも有効ということだ。

これからの世代に遺産を残す立場の人も、その遺産を受け取る側の人も、改めて税金の話を見つめ直し、無駄のない運用を検討してみてはいかがだろうか。

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