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経営者に資産管理会社を勧める3つの理由――相続を見据えて――


Business man draw building and cityscape (写真=PIXTA)

 相続対策を行う上で、資産管理会社を作ることが一般的になってきた。なぜ相続対策のために資産管理会社を作るのか。それは法人を別に作ることが相続対策の理にかなっているためだ。

 最近の相続対策としては、資産管理会社は不動産の管理をするのではなく、不動産を保有するのがトレンドだ。そこで、今回は相続対策として資産管理会社を勧める3つの理由について見ていくことにしよう。

保有型の資産管理会社が良い

 資産管理会社といえば、個人で保有している収益不動産の管理を委託する運営・管理型の資産管理会社をイメージする人が資産家の中にはまだ多い。運営・管理型の資産管理会社の多くは、個人の賃料収入から管理委託料を支払い、個人の節税や親族への役員報酬により所得の分散を図るのを目的としている。

 しかし、管理フィーと言っても税務調査に耐えうる適正な管理委託料は賃料収入の10%程度で、節税や所得分散を行うには、あまりインパクトはない。そのため、最近では資産管理会社そのものに資産を持たせてしまう保有型の資産管理会社の形態をとることが増えてきた。

3つのメリット

 そこで、資産を持つ保有型の資産管理会社に話を絞ってメリットを述べていく。保有型の資産管理会社のメリットは、①運用期間中の節税力が高いこと、②所得分散の効果が大きいこと、③相続時の節税効果が高いことの3つが挙げられる。

運用期間中の節税力

 まず1つ目のメリットは、運用期間中の節税力が高いことだ。個人で不動産を保有した場合、個人所得が発生するが、その税率は個人住民税の税率と合わせると最高約55%まで引き上げられている。

 一方で法人が不動産を保有した場合、法人税の実効税率は約35%に引き下げられている。法人税は今後も引き下げられる方向で動いており、運用期間中の収益に対する節税力は法人の方が有利だ。

 また個人で不動産事業を行う場合、経費で求められる範囲が賃貸事業に直接関わる部分に限定される。一方で法人の場合は、経費で認められる範囲が広いため、さらに節税効果を高めることができる。

所得の分散

 2つ目のメリットは、所得の分散だ。個人で不動産を保有した場合、その収入は本人のみに帰属することになる。一方で、保有型の資産管理会社の場合、役員を親族とすることで、役員報酬を支払うことが可能となるため、次の世代へ徐々に資金を分散させていくことができる。

 相続人に資金の移転が進めば、資金が溜まっているため相続税を支払うことも可能となり、物納により資産を減らしてしまうリスクもなくなる。もちろん、この所得の分散は運営・管理型の資産管理会社の役員に親族を充てる方法でも可能だ。

 しかし、運営・管理型の法人の収入は管理委託料に限定されるため売上が低くなり、分散効果は限定的だ。そのため、次世代への資産の移転という意味でも保有型の資産管理会社はメリットが大きい。

相続時の節税効果

 3つ目のメリットは、相続時の節税効果も高くなることだ。収益不動産を法人で所有した場合、その株式が相続対象となる。法人の株価は3年を経過すれば相続税評価額で評価できる。相続税評価額なので、その保有資産には土地の貸家建付地評価減や建物の借家権割合による評価減が適用される。

 ここまでは個人と同じだが、法人が借入金を用いて収益不動産を保有していれば、相続税評価額から借入金を控除した残りの部分が株価となる。例えば相続税評価額が時価の60%で、法人の借入も土地建物価格の時価の60%ならば、資産マイナス負債がゼロとなり、株式評価をゼロにすることもできる。そのため、評価額をゼロとした株式を相続人に贈与することもできる。

検討の価値あり

 以上の事から、経営者が個人で持っている不動産を保有型の資産管理会社へ移していくことはメリットがあると言えよう。様々な相続対策が言われている中、保有型の資産管理会社の活用については、検討してみる価値が十分にありそうだ。

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