民泊新法がいよいよ施行!今後の民泊はどう変わる?

(写真=kunakorn kuis karkai/Shutterstock.com)

2018年6月15日から、「住宅宿泊事業法(民泊新法)」が施行された。訪日外国人客の増加で宿泊施設が供給不足となり、出張時の宿泊先確保に困っていた方の中には、民泊の登場を歓迎した方も多いかもしれない。
しかし、住宅街に見知らぬ旅行者が急増し、騒音などの被害や治安悪化に不安を覚えている住民がいるのも事実だ。民泊新法で今後の民泊はどう変わるのか見ていきたい。

民泊撤退するオーナーが続出、「撤退ビジネス」も

日経新聞の報道によると、米国発の民泊紹介の世界最大手「エアビーアンドビー(エアビー)」は、民泊新法の施行前に許認可などがない日本国内の施設の掲載をストップ。掲載を外された施設のオーナーに対し、予約を強制的にキャンセルさせるという対応をとった。
こうした措置により、サイト上の掲載数は一時8割減となったとも言われている。

観光庁の発表によると、6月15日の時点で民泊ホストにあたる住宅宿泊事業者の届出件数は3,728件。そのうち、受理されたのが2,210件だ。
民泊新法では、民泊ホストに対してさまざまな義務が課される。民泊新法下では、住宅に家主が居住する“家主居住型”と、家主が不在となる“家主不在型”の2業態があるが、家主不在型は特にハードルが高い。家主不在型の民泊施設は、旅館やホテルのように消防法令に適合させる必要が課されており、設備の改修を迫られるケースもある。また自治体によって条例が異なるため、書類の準備も煩雑だ。

既に中古品の売買を行うインターネット上のサイトでは、民泊から撤退したオーナーによるものとみられる不要品や家具の投げ売りが始まっている。また、家具のリサイクルなどを請け負う「撤退ビジネス」も登場した。

一方、民泊の合法化をにらみ、異業種からの参入も始まっている。コンビニのファミリーマートがエアビーと提携し、民泊のチェックイン機能を担うほか、人材大手のリクルートは民泊運営の支援サービスを開始した。

「性善説」を利用した悪質オーナー

掲載を外された施設の中には、エアビーを介さない相対取引や海外サイト経由で民泊を継続しようとするホストも存在している。ただしエアビーは現在までに、許認可の不備で掲載できなくなったことによるキャンセルに対しては、全額返金に加えて予約額と同額の宿泊クーポンを発行しており、ユーザーはリスクを冒してまで違法な物件のオーナーと取引する必要性は薄れている。

さらに悪質なケースでは、虚偽の許認可番号を登録し、エアビーのチェックをくぐり抜ける違法物件もあるようだ。エアビーのようなシェアリングサービスは、基本的に「性善説」に則って運営されている。そのため、「許認可番号を装った番号を入力することで、オーナーが本当に許認可をとっているかチェックする」という仕組みは現状存在しないのだという。
法令に則った厳しい設備基準を通過し、煩雑な書類手続きを済ませたオーナーはやりきれないだろう。

海外でも住民トラブルや住宅価格高騰

「日本の民泊新法による規制は他国に比べて厳しすぎる」「新たなビジネスの芽を摘んでいる」という批判もある。しかし、欧州では民泊の増加で都市部の住宅価格が高騰。昔からの住民とのトラブルも多く、住民が郊外に引っ越す、もしくは自宅物件を購入できないという事態が発生しているという。また、住民トラブルや治安悪化を防ぐために、海外でも民泊の禁止を規約に盛り込む集合住宅も増えていると言われる。
新たなサービスが拡大するスピードに世の中が追い付かないのは、日本も海外も同様だと言えるだろう。

新法の施行で民泊の概念が変わる可能性も

インバウンド市場の拡大でホテル不足がクローズアップされる中、新たな宿泊施設の受け皿として注目されてきた民泊。期待が高い一方で、さまざまな問題点も目についてきた。
今回の新法施行で、民泊が宿泊業として新たな地位を確立できるのか、それとも違法業者が退場することで市場の成長を損なうのか。新法の施行で民泊の概念そのものが問われることになりそうだ。

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