経営者が把握しておきたいマイナンバー制度4つのポイント

マイナンバー
(写真=PIXTA)

 いよいよマイナンバー(個人番号)制度がスタートした。個人向けの情報は数多く巷にあふれているものの、企業向けの情報はあまり目にしない。実際、日本経済新聞社の調査では、10月1日の時点でマイナンバー制度への準備が完了した中小企業はわずか6.9%にとどまっているそうだ。

 企業が関わるマイナンバー制度には、大きく分けて2つある。ひとつは、従業員などから取得した個人情報の管理だ。これには罰則規定もある厳しい管理が求められる。

 そしてもうひとつが、法人1社1社に配布されるマイナンバーの管理や運用だ。これらのマイナンバーにどう対応すればいいのか、どう管理すればいいのかが、今後の課題になってくる。そこで、企業経営者が知っておきたいマイナンバー制度について4つのポイントにまとめた。

1.マイナンバーの管理には企業責任が問われる

 企業がマイナンバー制度と関わるのは業種などによっても大きく異なるが、すべての企業が関わらなければならないのが、アルバイトなども含めた従業員を雇用した時に税務署に提出する「給与支払報告書」や「源泉徴収票」、そして健康保険の資格取得届などで、いずれにもマイナンバーの記載が必要になってくる。

 好むと好まざるとに関わらず、マイナンバーの情報を収集して管理しなければならないのだ。マイナンバーの「番号漏洩」は、漏らした側も、その情報を違法に取得した側にも罰則が科せられる。従業員が勝手にやった犯罪であっても、企業が管理責任を問われる。

 実際に、番号漏洩した従業員は4年以下の懲役、もしくは200万円以下の罰金が、そして企業も監督責任を問われて従業員と同額の罰金が科せられる。不正に個人情報を取得した場合も、3年以下の懲役か150万円の罰金となる。不正アクセスなどを防ぐ体制づくりなど、マイナンバー時代の「セキュリティー強化」は絶対必要条件だ。

2.社内の管理体制を万全にするため専門部署を作る

 厳しい企業責任が問われるマイナンバーの管理だが、具体的にはどんな体制を作ればいいのだろうか。すべての民間企業に求められるのが、マイナンバーを安全に管理できる体制づくりである。具体的には、政府が発表している「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)」に詳しいが、まずはマイナンバー管理のために「基本方針」や「取扱規定」を策定することになる。

 実際には、専門部会を作り、管理責任者を任命して、管理者としての教育を受けさせることが重要になる。企業に求められる作業は、次の4つ。

 ・ 収集……従業員とその扶養家族に割り振られたマイナンバーを収集する。
 ・ 使用……収集したマイナンバーを源泉徴収票などに書き込む。
 ・ 保管……収集したマイナンバーを一定期間に限って一時的に保管する。
 ・ 破棄……情報が漏洩しないように破棄する。

 これらの4つの段階で専門のシステムを作成することが求められている。実際には、2016年1月1日以降、退職する従業員などの退職金の支払い調書や臨時に雇用した従業員の給料明細書などに記載する作業が始まる。それ以外の従業員のマイナンバーは2016年の年末調整時になるため1年間程度の猶予がある。さらに、基礎年金番号との照合は、最大で1年5か月ほどの猶予がある。

 つまり、これらの猶予期間内に、どういった管理体制を整えればいいのかを検討する必要があるということだ。

3.委託業者に依頼するときの注意点とは?

 マイナンバーを企業が管理する方法には、大きく分けて2つある。自社で独自に管理する方法と外部に委託する方法だ。自社管理する場合は、社内外のセキュリティーを万全にする必要がある。情報漏洩は内部からの可能性もある。社内の情報インフラも根本から見直す必要があるだろう。

 一方外部委託では、委託した側の企業が委託先に対する監督義務責任があるとマイナンバー法に定められている。最終的な責任はやはり、管理責任のある企業にあるわけだ。外部委託する場合でも、社内に専門部会が必要な理由もここにある。

4.法人マイナンバーは業務の効率化に役立てる

 マイナンバーは「法人」にも与えられる。今後は決算の際にも、そして公的機関との取引などについても「法人マイナンバー」が必要になるだろう。ただし、個人用と法人用との大きな違いは、法人向けの番号は公表されて、誰もが自由に知ることができることだ。法人番号公表サイトで検索すれば、企業名、本店所在地、法人番号の3つが分かることになっている。

 2016年1月以降の決算には法人税の申告に使用しなければならないため、2017年1月以降の決算書作成時にはまちがいなく必要になる。

 こうした使い方以外では、取引先の情報を管理しやすくなるなど、メリットもあるかもしれない。今後、マイナンバーがどんな使われ方をするのかにもよるが、行政サービスだけではなく民間会社のサービスとどのような形で「ひも付け」して相乗効果を生むべきか検討されている。

中小企業のポイントはコスト?

 もうひとつ忘れてならないのはマイナンバー対応に向けたシステムづくりにかかるコストの問題だ。とりわけ、中小企業にとっては大きなコスト負担になる可能性もある。

 自社管理にしても、委託管理にしても、一定のコスト負担は不可欠であり、クラウドシステムを活用して、データを保存しておけばそれでいいというものでもない。万一クラウドからデータが漏えいしても、クラウド会社に管理責任は問えないと言われている。

 情報漏洩は、政府だけの問題ではなく民間企業の問題でもある。政府は潰れることはないが、民間企業は顧客の個人情報が漏洩することで「マイナンバー倒産」の可能性もあることを忘れてはならない。

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