非難の応酬!米中貿易戦争続く

(写真=Ivan Marc/Shutterstock.com)

2018年初頭に始まった米中間の貿易摩擦がエスカレートしている。今年9月に入り、米国のトランプ政権は中国からの2,000億ドルの輸入品に関税を上乗せする第3弾の制裁措置を決定。一方、中国政府は米国からの輸入品600億ドルに対し関税をかける報復措置を決めた。
今のところ米中ともに歩み寄る姿勢は見えず、米中貿易戦争は今後20年続くという見方もある。両国のつばぜり合いが長期化すれば、10年周期で発生する世界的なリセッション(景気後退)の懸念も出ている。

中国に進出する米国企業の大半に影響

中国米国商会と上海米国商会が会員である中国に進出する米国企業向けに実施した調査によると、米中両国の約500億ドル相当の品目に対する追加関税賦課(第1弾、第2弾)について、60%超の企業が「強い悪影響がある」もしくは「やや悪影響がある」と回答している。さらに、米国の2,000億ドル相当、中国の600億ドル相当の品目に対する追加関税賦課(第3弾)が発動された場合、「強い悪影響がある」もしくは「やや悪影響がある」と回答した企業がそれぞれ74.3%、67.6%となった。中国に進出する米国企業の大半が影響を免れない情勢だ。
産業別に影響を見ると、米国側の追加関税の影響を受けるとした上位3産業は、第1弾・第2弾の追加関税賦課が機械(82.6%)、電子機器(81.3%)、自動車(80.5%)で、第3弾では、自動車(88.9%)、機械(86.9%)、電子機器(81.2%)となっている。
事業運営への影響については、「生産コストの上昇(47.1%)」「製品需要の減少(41.8%)」「製品価格の上昇(37.1%)」などを挙げる企業が多く、事業戦略への影響については、「投資の取り消しや延期(31.1%)」「サプライチェーンの調整・部品の調達先変更/米国外での組み立て(30.9%)」などが挙がった。

日本が「漁夫の利」を受ける可能性は低い?

米中貿易摩擦によって中国製品の対米輸出が減れば、日本製品が「漁夫の利」を得て米国でのシェアを拡大できると期待する声も挙がっている。
ただ、米政権が対中制裁の標的にしているのは、中国政府が振興に力を入れている次世代移動通信(5G)関連などのハイテク分野だ。この分野は、華為技術(ファーウェイ)などの中国企業が先んじる一方で、日本企業は後手に回っているとされる。また、中国企業の抜けた穴を埋めるべく、欧州企業も虎視眈々と米国市場のシェア拡大を狙っている。こうした中、対中制裁で中国メーカーが米国市場から閉め出されたとしても、日本が恩恵を受けられる可能性は低いとみられている。

米中貿易摩擦、日本の景気押し下げ

中国の電子商取引大手アリババ・グループ・ホールディングスの創業者、馬雲(ジャック・マー)会長は、米中貿易戦争は今後20年続くとの可能性を指摘している。高関税が長期間続けば、両国の企業が打撃を受けるだけでなく、消費減退にもつながる。世界の二大市場である米中両市場の景気が落ち込めば、日本企業の輸出や企業の設備投資も減退し、国内消費も落ち込むだろう。また、GDP額世界第1位と2位の米国・中国間での緊張が高まれば、リスク回避の安全資産として円が買われ、極端な円高が起きる可能性もある。円高は輸出型の日本企業の業績に打撃を与えるばかりでなく、近年拡大を続ける訪日外国人によるインバウンド旅行市場にも悪影響を及ぼしかねない。米国が2,000億ドル相当の関税を賦課する第3弾の措置が発動された場合、日本の国内総生産(GDP)は0.02%押し下げられるとの試算もある。

世界的な不況、10年周期で発生

1990年代初頭の日本のバブル崩壊、1997年のアジア通貨危機や2000年代初頭のITバブルとその崩壊、2008年のリーマンショックに端を発した世界金融危機と、近年の世界的な景気後退は約10年周期で起きている。今年はちょうどリーマンショックから10年。米中貿易摩擦をきっかけに、大規模な経済危機が起きてもおかしくはない時期を迎えており、予断を許さない情勢だ。

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