都心のオフィス市場、コワーキングスペースの存在感伸長

(写真=Rawpixel.com/Shutterstock.com)

フリーランスやノマドなど、自由な働き方を模索する機運に合わせて、都心のオフィス市場でもコワーキングスペースの存在感が増している。CRBEの調査によると、賃貸オフィス成約面積に対するコワーキングオフィス開設面積比率は、2018年前半で7.9%まで高まった。「絆」やコミュニティーづくりという切り口で注目されがちなコワーキングスペースだが、商業不動産の活用という面でも着目すべきだろう。

アメリカ発「WeWork」、日本市場も精力展開

コワーキング運営で、世界的フロントランナーとなっているのが「WeWork」(ウィーワーク)だ。米ニューヨークに拠点を置く2010年設立の新興企業で、世界23ヵ国77都市287ヵ所以上でコワーキングスペースを運営する。日本市場ではソフトバンクグループ<9984>と合弁で進出した。WeWork ジャパンは、2018年内に日本国内4都市(東京、横浜、大阪、福岡)で11拠点を構える計画を立てており、国内メンバー数は2018年9月時点で6,000人に達している。

2019年は前年比2倍のペースで拡張する計画だという。コワーキングスペースやシェアオフィスのブームは、2000年代以降何度か繰り返されてきた。まずは、2003年に「1円企業」が認められ起業ブームが起きた頃。次に、2008~2009年の世界金融危機でオフィス空室率が急上昇した頃だ。そして、2011年の東日本大震災後は、BCP(事業継続計画)の観点から、拠点の分散化が叫ばれた。

人材を呼ぶ「エコシステム」づくりが肝心

CRBEの調査では、コワーキングスペースを「異なる企業の従業員や個人同士がデスク、イス、会議室などの設備をシェアする」かつ「利用者同士のコミュニケーションを促進する仕組みが構築されている」ワークスペースと定義。「利用者同士のコミュニケーション」があるかどうかで、シェアオフィスとの境界を設けている。

コワーキングオフィスのメリットとしてたびたび強調されるのは、この「コミュニティづくり」だ。少人数のスタートアップもコワーキングスペースに参加すれば志を同じくする仲間が見つかるかもしれない。とがった才能が集まるスペースには、別の新たな才能も引き寄せられてくる。クールでしゃれたインテリアだけでなく、こうした「エコシステム」づくりが、コワーキングの生命線ともいえる部分だ。

大手企業への活用も広がる

こうしたコワーキングの人的ネットワークは、スタートアップだけでなく大企業も引き付けている。WeWorkのコワーキングに入居する企業はスタートアップが多いものの、クレジットカード大手のアメリカンエキスプレスや、マイクロソフトなどの大手も利用している。WeWork ジャパンでも、Yahoo!やソフトバンクといったIT大手だけでなく、伊藤園やJTBなどの他業種からも大手企業の利用が拡大している。

若者たちのなかでは、コンベンショナルなオフィスで「かんづめ」になって働くよりも、「より自由な空間でとがった才能を持つ仲間とつながりたい」という欲求が高まっている。また、「社内にとどまらず広くさまざまな才能とコラボしたい」というニーズも増えている。こうした理由から、大手企業もコワーキングを活用しているのだ。

「区分所有オフィス®」で新たなオフィスの未来をつくる

CRBEの調査で都内の立地別にコワーキング市場規模を見ると、丸の内が最多。次いで六本木・赤坂や、渋谷・恵比寿、八重洲・日本橋などとなっている。 丸の内は大企業とのコラボを目指すフィンテック、渋谷・恵比寿はIT系スタートアップなど利用企業も土地柄が反映されているという。一方、新宿や飯田橋など、保険、法律事務所、情報といったセキュリティーが強く意識される業種が多いエリアは、コワーキングも少ないという。

近年、都内のオフィスビルは空室率が低下しており、空室対策としてコワーキングの誘致を進めようという動きは少ないようだ。ただ、新規供給物件が増加すると「ドミノ倒し」的にオフィス移転が広がり、中・小規模の築古物件を中心にテナント探しが難航する可能性がある。そうしたビルをリノベーションして、スタートアップやコワーキング利用者が好む「とがった」オフィスにする動きも出てくるだろう。

先ほど、コワーキングの生命線は「エコシステム」だと述べたが、成功の条件として立地や交通の利便性も外せない。なぜなら、待機児童問題や通勤ラッシュが深刻化するなか、コワーキング活用のメリットとしてリモートワークが可能という側面もあるからだ。その点、都心の利便性が高いオフィスを1フロアから所有できる「区分所有オフィス」は、コンベンショナルな賃貸オフィスだけでなく、コワーキングスペースの運営も可能だ。ニーズに合わせて用途を柔軟に選ぶことができる。

資産価値の高いオフィス物件を所有する「区分所有オフィス」で、新たな働き方やオフィスの未来を作り出してみてはどうだろうか。

※「区分所有オフィス®」は株式会社ボルテックスの商標登録です

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