「インスタ映え」はもう古い?若者の人気の動画アプリ「TikTok」ってなんだ?

TikTok

(写真=bangoland/Shutterstock.com)


ここ1年で急速に注目を集めたSNSといえば、中国発の動画共有コミュニティ「抖音(TikTok、ティックトック)」だ。運営企業のByteDance(バイトダンス)は2012年創業で、創業者の張一鳴(Zhang Yiming)は1983年生まれの現在35歳。

2016年のサービス開始後、急速にユーザー数を伸ばしている。最新の資金調達ラウンドではソフトバンクグループや中国アリババグループからの出資を得て、「アリペイ(Alipay)」を展開するアリババ傘下のアント・ファイナンシャルに次ぐ世界第2位のユニコーン企業に躍り出た。
日本では2017年夏にリリースされ、中高生などの若年層を中心に人気だ。また、新たな広告媒体としても熱視線を浴びている。

「面白い動画」を共有する

「TikTok」は、音楽に合わせて15秒程度の動画を共有するアプリで、「リップシンク(いわゆる口パク)」やダンスなどが中心。動きがコミカルなものが多く、中国でTikTokユーザーを対象に実施された調査では、利用目的として「面白い動画を見るため」と答えた人が82.3%と圧倒的だ。

しかし、正直なところ大人世代には、何が面白いのかいまいち理解しがたいかもしれない。
TikTokの強みは、AIを活用したレコメンド機能にある。写真投稿SNSの「インスタグラム」はハッシュタグによる検索機能を強みとしたが、TikTokユーザーはあまりハッシュタグは利用しないようだ。

ユーザー調査では、動画の視聴判断基準は「ソーシャルメディア上で見かけたもの」「知人のおすすめ」が50%を超えている一方で、「アクティブ検索」は13.2%しかない。
ソーシャルメディアの拡散力と強力なレコメンド機能によって好みの動画が延々とおすすめされるのだから、無限に時間をつぶせてしまう。ユーザー調査によると「夕食後の自由時間」や「寝る前」に利用しているという人が多い。

さらにTikTokの大きな特徴は、投稿された面白動画に触発されて、自ら投稿してみるユーザーが多いという点だ。「インスタ映え」を狙うのは手間がかかり難しいが、15秒程度のコミカルな動画ならハードルが低いということのようだ。

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日本の音楽レーベルも楽曲提供で定型

TikTokの人気が加速するにつれ、ビジネス面でも注目されるようになってきた。TikTokの「キモ」と言えるのが動画につける音楽だ。TikTok動画を作成・投稿するときには必ずBGMをつけなくてはならないため、音楽選びが動画の印象を左右する。

こうした点に目をつけたのが、音楽業界だ。音楽IPのネット利用に後ろ向きだった日本の音楽業界も、新たな広告プラットフォームとしてTikTokを活用。エイベックスは2018年10月に、日本の音楽レーベルやエンタテインメント企業として初めてTikTokと包括的楽曲ライセンスで提携し、同社が保有する楽曲、約25,000曲を開放したのだ。日本国内はもちろんのこと、J-POP人気の高い中華圏や韓国、東南アジアなどのユーザーにもTikTokを通じて曲を拡散してもらう狙いがある。

「大人世代にはわからない」面白さが若者をひきつける

一方で、TikTokにはまだ広告機能が実装されていない。ただ、企業によるプロモーション目的の動画投稿や、企業動画にインスピレーションを受けたユーザーがさらに面白い動画を作り、競い合う「ハッシュタグチャレンジ」といった広告活動が行われ始めている。

こうした中、TikTokが現在もっとも懸念しているのは、利用者の年齢層が広がることで若者の流出が始まることだともいわれている。
ありていに言えば「大人に侵食されたコンテンツに若者は寄り付かない」ということだ。「大人にはわからない」からこそ、若者を引き付けているともいえる。
広告利用も同様で、広告動画が増えることでコミュニティを重視する若者たちからそっぽを向かれる可能性も否定できない。

ユーザーのリテンション(引き止め)が課題

マネタイズはあらゆるSNSが抱える課題だが、Facebookやインスタグラムも当初は若者中心に人気が高まる中で幅広い年代が利用するようになり、広告目的での利用が増え、肝心の若者層が流出するという栄枯盛衰を繰り返してきた。TikTokが同様の課題をどう乗り越えるかという点に注目したい。

ただ、大人世代が「何が面白いのかわからない」と言っているうちが、新興SNSの華ともいえるのかもしれない。

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