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不動産を相続するときに知っておきたい8つのポイント


The house in human hands
(写真=PIXTA)

 相続税対策として不動産の活用は有効と言われている。不動産を上手に活用すれば、相続税を減らし、資産を次世代へ引き継ぐことも可能だ。そこで、不動産と相続について知っておきたい8つのポイントについて紹介しよう。

①不動産の相続登記に関する基礎知識

 境界の立ち会いなどで隣地の所有者を謄本で調べたところ、たまに所有者が既に亡くなっていたというケースがある。実は相続が発生した場合、不動産登記を変更する義務はないため、登記が被相続人名義で残っていることも多いのだ。
 
 しかしながら、登記は本来自己の権利を第三者に主張し、勝手な売買などを防ぐために行うものであり、世代が変わり相続人が増えると登記することに手間と費用がかかってくるため、相続登記の手間を惜しむのは良くない。相続登記は相続人が法務局に出向けば自分でもできる。但し、相続登記申請書や登記原因証明情報などの専門的知識が必要な書類もあり、司法書士に依頼した方がスムーズだ。

 かかる費用としては登録免許税が一番大きく、固定資産評価額に0.4%を乗じた金額となる。その他は、司法書士の手数料、登記事項証明書や住民票、戸籍謄本などの取得費用がそれぞれ数千円かかる。登記は義務ではないが、遺産分割協議後に速やかに行いたい部分だ。一般的には相続後半年以内に登記をしているケースが多い。

②不動産相続の名義変更の手続きについて

 ここで遺産分割協議について解説を加える。相続人が複数人居る場合、相続が発生した時点では不動産は共同相続人全員で共有することになる。そのため、誰がどの不動産を相続するかは遺産分割協議によって決めることになる。遺言が存在すれば、その遺言の有効性と内容を確認する。遺産分割協議が終わった後に遺言が見つかってしまうと、遺産分割協議をもう一度やり直す必要があるため、注意が必要だ。相続税の申告後に変更する場合には、贈与税が伴う可能性がある。

 遺産分割協議では、まず遺産分割の配分や誰の名義にするか、手続きは誰が中心的に進めるかなど、協議する内容を整理すると話し合いがスムーズに運ぶ。話し合いは相続人全員で行うが、メールや手紙のやり取りでも話し合いをしたことにできる。遺産分割協議が終われば、最終的に遺産分割協議書を作成する。遺産分割協議書には相続人全員の署名と実印の押印が必要で、印鑑証明書も添付する。ポイントとしては、遺産分割協議書の中に相続人全員で協議したという文言を記載する必要があるという点だ。

③不動産の相続の期限

 ここで不動産を相続した場合の期限について整理しよう。まず相続登記については、そもそも義務ではないため期限もない。遺産分割協議に関しても同様に特に期限はない。期限があるのは相続税の申告と納税の期限で、被相続人が亡くなったことを知った日から10ヶ月以内となっている。そのため遺産分割協議に期限は無いが、納税時に相続税の特例措置を受ける必要があるため、それまでに遺産分割協議を終えておくのが通常だ。

④不動産相続の税金

 相続の税金に関しては、基礎控除額を超える部分について相続税がかかってくる。基礎控除とは「3000万円+法定相続人の数×600万円」だ。つまり相続人が配偶者と子供1人の場合は基礎控除額が4200万円となり、それを超える分について相続税が発生する。超える部分に対する税率については、8段階の累進課税方式になっており、1000万円までなら10%、6億円超であれば最高税率55%となる。

 相続税は申告期限までに現金で一括して納税するのが原則だが、例外として延納と物納も認められている。延納については相続財産により返済期間が変わり、利子も取られる。また物納は国としては望ましくないため、物納は延納や金銭によって相続税を納めるのが困難な場合に限られ、一定の条件を満たす必要がある。このように相続人にとって納税方法は厳しく定められているため、相続対策をしっかりしておくか、相続人に十分な手元資金を用意しておかないと、不動産をかなり失うことになるのだ。

⑤不動産相続の分割

 相続によって不動産を失わないようにするには、まず誰がどの不動産を相続するかという分割対策が有効だ。理由としては、軽減税率の大きい「小規模宅地等の特例」と「配偶者の税額軽減」の2つを活用するためだ。小規模宅地等の特例は自宅であれば330平方メートルまで相続税評価額の8割減で評価ができる。小規模宅地等の特例は配偶者或いは子供の同居が要件となる。但し、同居していない子供が相続する場合相続開始前3年以内に自己または自己の配偶者が所有する家屋に居住していないなどの要件を満たしていれば適用可能となる。

 また被相続人の配偶者は、遺産分割や遺贈により実際にもらった正味の遺産額が、法定相続分以内であれば税金は発生しないという税額軽減措置がある。配偶者の法定相続分は2分の1なので、どの不動産を配偶者に割り当てておくかは重要になる。このように、不動産の相続には大きな減額制度があるため、まずは誰がどの不動産を相続するか、あらかじめ分割方法を決めておくことが相続対策の第一歩なのだ。

⑥不動産の相続評価額と評価方法

 では、不動産の相続税評価額はどのように決まるのだろうか。まず、簡単な建物から紹介する。建物評価額は、毎年送られてくる固定資産税の納税通知書に記載された建物評価額がそのまま評価額のベースとなる。建物が賃貸に供されている場合には、建物評価額から借家権割合の30%が減額される。建物評価額は新築の場合は建築費の50~60%程度になるが、そこからなかなか評価額が減額されないため、例えば築20年以上の木造戸建住宅などは実際の市場価格よりも高くなっている傾向がある。

 次に、土地の評価方法を紹介する。土地は相続税路線価から計算する。相続税路線価というのは、国税庁のホームページにある財産評価基準書から誰でも閲覧可能だ。前面道路に1平方メートルあたりの千円単価の数字が記載されている。単純には路線価×面積で計算されるが、これも活用方法によっては貸家建付地評価減などの減額措置もある。

⑦不動産の贈与を活用した相続税対策

 相続対策は不動産の活用に限ったことではない。贈与によっても十分な相続税対策は可能だ。贈与には、暦年課税と相続時精算課税の2種類の方法がある。暦年贈与は毎年110万円までであれば非課税だ。一方で相続時精算課税は一度に2500万円までの贈与を行うことができる。贈与税はかからないが、贈与者の相続時に相続財産に加算されるので注意が必要だ。又相続時精算課税を一度選択してしまうと途中で暦年贈与に変更することは出来ないため、慎重な選択を行う必要がある。

 相続時精算課税は、そもそも親の財産を次世代に早期に移転させることで経済活動を盛んにするために設けられた制度だ。そのため2015年から相続税法が厳しくなったと言われているが、実は贈与税に関する部分は厳しくなっていない。収益力のある相続財産を一度に子供たちへ移転させれば相続対象資産を減らすことができ、子供たちも納税資金が溜まることになるから贈与の活用は相続対策になるのだ。

⑧不動産の孫への相続

 被相続人側の要望として意外と多いのは、孫に不動産を相続させたいというものだ。子供は憎く、孫は可愛いという訳ではないが、相続を一回飛び越えることができるため、ある意味相続対策となることも事実だ。2回に分けて相続税を支払うよりは1回で支払いが済むという意味で節税になる。但し、基本的に子供が生存している場合には孫は相続人となることは出来ない。仮に子供が相続放棄をしても、孫は相続人となることは出来ないのだ。
 
 しかしながら、孫を養子にする、遺言書で相続させると記載しておけば相続させることは可能だ。デメリットは、相続税が20%増になることだ。そのため本当にメリットとなるかは何度もシミュレーションを行い、慎重に判断を行う必要がある。

まとめ

 以上、不動産を相続するときに知っておきたい8つのポイントを見てきた。相続対策はオーダーメイドであり、それぞれ答えが違うものだ。早急に答えを出さず、自分たちに合った相続対策をじっくり考えることが良いだろう。

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