定着しつつあるテレワークによる働き方と管理における技術革新

(画像=Foxy burrow / Shutterstock.com)

昨今、IT機器の発達や「働き方改革」の機運の高まりで、一般企業においても働く場所を限定しないテレワークが定着しつつある。一方で、「シャドーIT」のリスク顕在化など、新たな課題も浮上している。テレワークの定着に向けた働き方の見直しと、人事管理における技術革新の動向を見ていこう。

テレワーク制度、大企業ほど普及進む

国土交通省が2018年に実施した「平成29年度テレワーク人口実態調査」によると、企業に雇用されているテレワーカーの場合、「情報通信業」の割合が最も高く33.8%、次いで「学術研究、専門・技術サービス業」が27.0%、他業種は約10~20%となっている。職種別では、「管理職」「営業」「研究職」が多い。

勤務先にテレワーク制度等があると回答した割合は雇用型全体のうち16.3%に過ぎない。テレワーク制度等を導入している割合は、従業員数1,000人以上の企業が25.1%で一番多く、従業員数が多いほど制度が普及している。テレワークを「全部門・全職種」で認めている割合は29.7%、「役職・勤続年数に関係なく認めている」割合は54.7%で過半数を超えた。

テレワークに条件を設けている場合、「育児」が68.8%と最も多く、次いで「介護」が56.7%。「災害発生時」「交通機関の混乱時」は、いずれも3割に満たなかった。このテレワークが認められている場所は、「自宅」が62.3%と最も多く、次いで「自社の他事業所(他支店・営業所、サテライトオフィス等)」が約56%となっている。

「物理的にオフィスに来られない人」を活躍させるテレワーク

テレワークは、デジタル時代の進展と2011年の東日本大震災を契機としたBCP(事業持続計画)の一環として広まった。震災時には、交通機関の混乱や計画停電の影響で、オフィスに出勤することに困難を生じるケースが多々みられたからだ。

近年では、核家族化によって両親のどちらかに育児の負担が偏重する「ワンオペ育児」や待機児童、介護離職といった社会問題が顕在化している。一方で、少子高齢化によって労働力人口は縮小の一途をたどっており、高齢者や女性、身体が不自由な人、外国人といった従来労働市場からはじき出されがちだった人々にも活躍を期待するダイバシティー化を進めなくてはならない局面が迫っている。こうした中、「物理的にオフィスに来られない人」を労働の場に引き入れる手段のひとつがテレワークなのだ。

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セキュリティリスクをカバーする「テレワーク保険」も登場

一方で、テレワークの拡大に懸念を示す理由として、「セキュリティー」を上げる声も多い。

例えば、コミュニケーションアプリの「LINE」やFacebookメッセンジャーといった業務上認められていないツールの使用や、個人のモバイル端末からの情報漏えいリスクが高まる「シャドーIT」の問題がある。

こうした課題を解決する一環として、東京海上日動と日本マイクロソフトは2018年から「テレワーク保険」の提供を開始した。同保険では、モバイル PC にダウンロードした情報漏えいやモバイルPCに対する不正アクセスといったリスクをカバーするもの。マイクロソフトのWindows10 が搭載されたモバイル PC にのみ付帯できる。

個人の業務範囲があいまいな日本企業、テレワーク推進の障壁に

また、テレワーク導入時に「労務管理」を課題に上げる声もある。

日本企業には海外では一般的なジョブ・ディスクリプション(職務記述書、職種や階級ごとに職務の内容を明記した資料)がないため、各人の業務範囲があいまいで成果を測りにくいことが再三指摘されている。こうした中でテレワークを認めると、個人の業務の進ちょくがますます見えにくくなり、労務管理に支障をきたすというものだ。

先の国土交通省の調査では、テレワークによって「自由に使える時間が増えた」 「通勤時間・移動時間が減った」「業務効率が上がった」といった回答が多かった。一方では、「仕事時間(残業時間)が増えた」という回答が34.7%、「業務効率が下がった」という回答も28.2%見られた。

テレワークの推進は、単なる働く場所の問題だけでなく、働き方のデザインそのものを見直すべきなのだ。

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