傾斜マンション問題はなぜ発生したのか  〜投資家はどのようなスタンスで物件を見るべきか〜

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(写真=PIXTA)

 横浜のマンションで、杭の施工不良による建造物傾斜が発生し世間を騒がせた。杭の施工不良はプロでも見抜くことが難しいと言われている。横浜のマンションは一流会社である三井不動産レジデンシャルの物件であるため、ディベロッパーやゼネコンのネームバリューのみで安全なマンションを見極めるのも難しくなってきた。そこで横浜のマンションの教訓から、マンションのどういう部分を注意して見るべきかを解説していきたい。

傾斜マンション問題はどのような状況だったのか

 まず、横浜のマンションの特徴として、敷地が広いことに注目したい。杭が必要となる大きな建物を建築するにあたっては、通常、着工前に支持層の深さを調べるボーリング調査というものを行う。このボーリング調査は構造設計者の指示をもとに、ポイントを絞って行われるのであるが、敷地の下を全て調査する訳ではない。そのため、数ポイントの調査から、地下の立体的な支持層を「想定」するのである。小さな敷地では支持層はほぼ想定通りであるが、大きな敷地ではまれに敷地内に支持層が想定よりも深い部分や浅い部分が生じるケースがある。

 次のポイントは杭の種類である。杭の種類には大きく分けて、「既製コンクリート杭」と「場所打ちコンクリート杭」の2種類がある。今回の横浜のマンションは既製コンクリート杭である。既成コンクリート杭は工場で生産した杭を運んでくるため、工期も短くなり、メリットも大きい。しかしながら、仮に想定していた支持層より深い部分が施工中に発見されれば、再度、工場で長い杭を作り直さなければならない。

 一方で場所打ちコンクリート杭であれば、現場でその都度コンクリートを流し込んで杭を作るため、現場で想定よりも深い支持層が発見されても柔軟に対応できる。今回の横浜のマンションは、現場で想定よりも深い支持層が発覚した時に、杭を発注し直すことで追加コストと工期の延長が発生するのを恐れ、担当者がデータを改ざんしたものと思われる。

 但し、「敷地が広い」と「既製コンクリート杭」の2つの理由で、直ちに杭の不正の可能性が有ると判断するのは早計である。たとえ既製コンクリート杭であるとしても、想定外の深い支持層が発覚した時に、コンクリート杭を工場に発注し直す手続きを行っていれば問題はない。また敷地が広くても、支持層がほぼ一定の深さの敷地であれば、それも問題はない。そのため、入念な調査をしないと、杭の長さ不足は分からない。

 気になるようであれば、杭の種類をまず確認し、ゼネコンが杭の支持層到達を全数確認したかどうかを質問してみることが良いであろう。

マンション価値はどれくらい下落したのか

 今回の横浜のマンションのように、問題が発覚して大騒ぎになると、そのマンションの市場価値はほぼゼロになると思われる。但し、横浜のマンションの場合は三井不動産レジデンシャルが建て替えを公表しているため、新築マンションを購入したのも同然であり、新築マンションと同等の価値を見出す人も多いであろう。そのため、三井不動産レジデンシャルのような早急な対応があれば、価値が著しく下がるということはない。つまり、万が一の対応力が優れているディベロッパーのマンションであれば、投資家として安全性は見いだせるということであろう。

不動産投資で物件を選ぶ際に注意すべきポイント

 物件を選ぶ際は、中古と新築では考え方を分けた方が良い。中古マンションで傾きの問題が生じていなければ、特に気にする必要は無い。新築の場合は、敷地が広く、既製コンクリート杭の物件は少し気になるところである。このような物件の場合は、万が一の時を考えて、売り主のディベロッパーの信用力が第一となるであろう。判断基準としては、ディベロッパーの与信や過去の不祥事への対応などが参考となる。

 いずれにしても見えにくい問題であるため、気になる物件であれば、徹底的に調べる姿勢がリスク回避に繋がると言えるであろう。

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